吠える秀
Passenger
#8
パッセンジャー



『噂なんかじゃねえっ』
 山口県、萩市に在る毛利伸の実家を訪れていた秀警部補は、慌ただしい様子でその、古めかしい土塀に囲まれた庭を飛び出して来た。
 秀は午前中には萩市に到着していたが、その母親は家業である窯元の店鋪に居た為、呼び出してもらうのに多少時間がかかり、訪問できたのは午後一時過ぎだった。まあお陰で観光する余裕もできた。源氏巻の他にういろう、ふぐ煎餅、だいだい酒なども買って来られた訳だが。
 その後一時間少々の事情聴取を終え、飛ぶように帰路に就こうとした秀。恐らく重大な何かを発見したに違いなかった。彼は土産物の詰まった袋とは別に、持参した鞄に大事な「預かり物」を携えている。とにかく早くそれを小田原に持ち帰りたいようだ。

 萩市内からタクシーで宇部空港に戻った折、秀は現在の状況を確かめに小田原署に電話を入れた。午後五時になろうとする頃、捜査本部に居た小田原署の巡査長が電話に出た。
「秀だ、今山口の学生の実家に行って来たところだ。今朝から何か進展はあるか?。特に聞き込み、大学周辺の聞き込みがどうなってるか知りたい。新しい情報があったら聞かせてくれ」
 相手が羽柴でない場合の彼は、ある程度普通の口調で話をするようだ。
『少し待ってください、…えーと、ああ、聞き込み情報ではありませんが、近所に住む退職老人で、大学の清掃に派遣で来ている男性の話があります』
 そう、それは遼が話を聞いたと言う清掃夫だった。本人はその時まで、さして重要な話題とは思わなかったらしいが、遼が強い関心を示したのを見て、今日になって警察に届ける気になったようだ。
「どんな話だ、それは?」
 秀は急かすように次の言葉を催促する。
『今警部補が聴取に行かれた、毛利伸と被害者に関する噂話の件です、』
 そしてそれは正に秀が欲しがっている情報だった。
『周辺住人の間では、不可解な現象が起こっていたらしいんです。事件のニュースを新聞やテレビなどで知ると、多くの者が途端に例の噂を思い出したと言うんです。話しに来た男性の場合は妻が、朝の第一報の時点で「あの学生じゃないか」と言い出し、近隣の主婦なども、一様に同じ反応だったそうです。恐らく多くの住人がそうだったんじゃないかと言って、それがマスコミなどに伝わり、彼が注目を浴びる形になったようだと話していました。
 男性は妻が闇雲に人を疑う様子を変に思い、理由を聞いたそうですが、それが事件そのものに関してではなく、どうやら被害者を見たり聞いたりする度に、真っ先にそれを思い出すらしいんですよ。妻本人は被害者をよく知る人物ではありませんが、町で人気のある博士ですから、むしろ悪い話は隠そうとするのが人情ではないかと。かなり妙な話だと判断しています。
 それとこの噂が町に広まったのは、どうやら周辺を回っているセールスの連中の仕業らしいです』
 そこで秀は思わず、叫ぶような声で問い返した。
「それは本当かっ!?、確かなんだなっ?」
『はい、今改めて付近の聞き込みを、十余名の巡査に当たらせているところですが、既に何件か同様の報告が入っています。最初の聞き込みで殆ど出なかったのは、世間話に織り混ぜて語られたことと、住人にも「単なる噂話」と捉えられていたことが原因のようです。これからもっとまとまった数になると思います』
 今、秀の中での仮説が確信へと変わって行く。
 そもそも事実かどうか疑わしい噂を、一年も経った後に取り沙汰して騒ぐのはおかしい。無論警察は始めからそう考えていたが、幾ら平凡で退屈な一般家庭にしても、付近住民の騒ぎ方は異常だった。まだ容疑者ともされていない者に話題が集中するのは、何らかの原因があってのことだろう。しかし当の毛利伸は、大学でもその近辺でも印象の良い学生だった。
 この妙に矛盾した状態は、勿論被害者についても言えることだった。町に愛されていた筈の被害者が、亡くなった途端に掌を返されるように、怪し気な噂の主人公として祭り上げられていた。被害者はそれまで特に汚点らしい事実を持たなかった故、そんな馬鹿な話はないと言う感じだった。
 そして秀が思ったのは、「パブロフの犬」で知られる刷り込み反応だった。ある条件下で同じ反応をしてしまう住人達。重要でないと解っている噂話を、節度を忘れ他人に吹聴してしまう様子。セールスマン達が何をして回っていたのかが、無性に気になって来る…。
『…その他には、不審者を見たと言う警備員の詳しい話と、現場から持ち去られたと見られる三点が、大学内から発見されたとの情報が入ってます』
「え、何だって?、何処に?」
 盗品については秀の管轄外だったが、大学内と聞けば一応確かめておきたかった。
『大学のクラブハウスです。例のマリンスポーツのサークルが使っている部屋に、事件の後に持ち込まれた、潜水服などの入った箱から出て来たそうです。発見者は史学部の凍流助教授です。本人自ら連絡を入れて来ました』
「わかった!、詳しい報告は戻ってから確認する。今から署に戻るからな、羽柴警部から連絡があったら、俺が戻るまで署で待つように言ってくれ!」
 秀はそう言い切って電話を終えると、もうあと二十分程で宇部空港を飛び立つ、飛行機の搭乗口へと走って行った。今から戻ればどんなに遅くとも、午後十時までには小田原署に戻れる筈だった。
 今日聞いて来た話を何とか、今日の内に小田原へ持ち帰りたいと秀は息巻いていた。



 その夜、と言っても日が長くなった今頃では、まだ薄藍の空が広がる午後七時頃に、征士は漸く長旅を終えてマンションへと戻って来た。
「おかえりぃー」
 その様な言葉をかけられたのは初めてだった。否これまで、征士が一人で出歩く機会はなかったからだ。しかし彼はそれ以上に、目の前に広がる部屋の光景に驚かされていた。
「…どうしたんだこれは」
 征士の予想では、いつも通りぼんやりテレビのニュースでも見ながら、今朝渡しておいたビールを開けている筈だった。確かにテレビのスイッチは入っていた。夕方のニュース番組から七時に移る頃の、天気予報が今夜から明日にかけても晴れだと伝えていた。
「退屈だったからさ。それと遼に電話を代わってくれただろ、ホントに嬉しかったよ。ありがとう」
 ワンルームに合わせた小さなテーブルの上には、リング型のケーキを中心に、所狭しと料理の乗った皿が置いてある。征士の部屋には無論オーブンなどないが、何らかの方法を駆使して作ったケーキらしい。爪楊枝とアルミホイルで作った飾りが、その上に疎らに刺してある。つまりこれは何かのお祝いのつもりなんだろう。
「随分様子が変わったものだ」
「そうかい?」
 電話ひとつでそこまで気分が変わるとは。そんなに連絡を取りたかったなら、外の公衆電話からでも、征士の部屋に設置された電話を使っても良かった筈だ。或いは持っている携帯電話だって、こちらからかけることはできただろうに。
「遠慮していたのか?。自分の携帯がまずければ、この部屋の電話でも私の携帯でも貸したのに」
 けれど伸はこう言った。
「そういう意味じゃないんだ。何となく、自分からはかけづらかったからさ。…僕は最近本当に、自分が何してるのかよくわからなくて、だからみんなを避けるようになっててさ。それなのに、困ってる時だけ神頼みみたいなことは、嫌だし、悪いと思って」
 確かに彼等も同じことを言っていたと、征士は今日会って来たふたりを思い出す。自分が自分でないと思えた時、どんな心境でどんな行動を起こすかは想像できないが、恐らくそれまでの環境には居られないと、漠然と感じるものなのだろう。それが良い環境であったならそれだけ、侭ならない己を辛く感じる筈だった。
「だが、彼等は全く気にしていなかったぞ?。ああ、ルナと言う子も来ていたが、ふたり共むしろ心配していた」
「そうか。そうだね。…うん、だからありがとう」
 けれど伸は、それが判れば今は充分だと言うように、穏やかに笑っていた。そう、まだ全てが解決した訳ではない。それは伸が一番よく解っているからだろう。
「それで、催眠術の本はあった?」
 今そこに居る彼はもう、己をまずどうにかしようと言う意思を持っている。答を出すことを彼は前ほど恐れなくなっている。勿論良い変化だと思う。それはきっと、このからくりは必ず解けると言う黙示のように、征士には明るく感じられていた。
「ああ、全く目的通りの本が。ただページが多くて、まだ四分の一くらいしか読めていない」
 そう返しながら、征士は袋に入れられた図書館の蔵書を取り出して見せる。そしてその分厚い本文をパラパラと確かめながら、
「その前に見てほしい物があるのだ」
 と言って、自分が読み終えた所に挟んでおいた、例の不思議なメモを伸に差し出した。
「この本に挟んであったものだ。私は多分、亡くなった博士が書いたものだと思う」
 すると伸は目を見張って言った。
「確かに博士の字だ。けどこれ…」
 伸にしても、それは初めて目にする書き置きだったらしい。記された言葉の意味は全く判らなかった。そして何故この『催眠の手法と有効性』に、博士のメモが挟まっていたのかも。
「…何で博士が?」
 そう問い返すのも尤もだった。もしこれが殺人を代行させる為の催眠術なら、博士が自身を殺させる為に、或いは自身を追跡させる為に伸に術をかける、と言う難解な話になってしまう。そして征士もそれには答えようがない。
「わからない。だが博士はこの本を借りていたのだ。図書館のデータを調べていたら、貸し出し記録に名前があった。二月三日の日付けだった。そして、このメモは二月七日のものだ。この頃に博士が催眠に関心を持っていたのは、事実だと思う」
 二月と言えば、今から三ヶ月程前のことだ。三ヶ月前には何があった?。何か特別な出来事があっただろうか、それとも変化があっただろうか、と伸は思い返してみる。そして、
「三ヶ月前って、記憶が途切れることが多くなった頃だよ。…関係あるかな」
 間違いない。
 関係があるのはほぼ間違いないだろう。何故なら今は全くその現象が起こらなくなっている。そして征士はふと閃いた。
「博士はその前に気付いていたのか…?」
「え…?。僕の行動がおかしいと…?」
 そして伸にも、記憶になくともその可能性は考えられた。記憶の欠落が断続的に続いていた間、彼は仲の良い友人達を避けていたが、博士だけは変わらず近くに居る存在だった。今はそれも何故だったのか思い出せない。伸は友達も博士も、そこまで違う意識で会っていた訳ではなかった。
 もしかしたら博士は、自分の異常な行動に何処かで気付いて、ずっと観察していたのかも知れない。そんな考えが伸の中にも生まれて来た。事件の直前までの間、誰より最も身近に接していた博士だから、それが無理のない答と言えるかも知れなかった。
「だからかも。博士の近くに居ると、何だか安心できる気がしたんだ…」
「そうか」
 征士は頷きながら、伸が手にしたままのメモの文字を眺めている。
「じゃあこれは何だろうな。パソコンを調べることを思い付かなかった。電話して調べてもらうか」
 けれど伸は、それを明確な様子で否定した。
「違うよこれ、パソコンじゃない。何だかわかんないけど、パソコンじゃないことはわかるんだ。…何だろう、思い出せそうで思い出せない」
 彼はそのメモの文字列から、確かに何かを思い出そうとしていた。



「…早かったな」
 小田原警察署の捜査本部に、秀が駆け込んで来たのは午後九時三十五分。羽田からの戻りがかなりスムースだったらしい。まるで彼の意思がそうさせたように。
 そして、本部室の椅子で仮眠を取りつつ、伝えられた通りに羽柴はそこで待っていた。
「あったりめーだ!。それでもちゃんと土産は買って来たぜ」
 只管元気な秀の声を耳にすれば、半分眠っていた頭も、即座に冴えて来そうなものだった。
「とにかく雑談は後だ。今日俺が萩で聞いて来たことを、これからしっかり頭に入れといてくれ」
 秀はそう言って、机を挟んだ羽柴の向かいに座った。待たせて置いてそこまで言うのだから、それ相当の内容を期待したいものだ。羽柴もお土産を気にするのは止めて、椅子にきちんと座り直すことにした。
 ところが本題に入る前に、
「その前に、夕方入った情報を確認させてくれ」
 と秀は前置きをした。無論それは彼が話そうとしている事に関係がある。
「大学付近の住人が変な反応をしてるって奴だ。俺が聞いたのは五時頃だったが、それからどれくらい話が集まったか教えてほしい」
 そして羽柴も彼の意図するところが解るので、報告された事実は余す所無く説明した。
「ああ、聞き込みはもう集計が済んだ。半径一キロ圏に住む住人を、ここの巡査が隈無く回って行った結果、話を聞けた住人の半数近くが、例の連想反応に同意しているそうだ。そして噂自体をセールスマンから聞いたと、うろ覚えでも答えた住人は二割。そんな記憶はないがセールスマンから商品を買った、或いはチラシなどを受け取ったことのある住人は七割以上だ。
 それから、やって来た憶えのあるセールスマンは、耀者会出版、耀者会ゼミナールが全体の四割近く、他はその他の企業だったが、調べが付いている耀者会グループの関連企業は、その内の三割に達している。つまり合わせて七割以上が耀者会だった」
 正にこの地域は、耀者会で窒息しそうな状況だったのだ。が、
「しかし奴等を怪しむ者は意外に少ない。いや殆ど居ないと言っていい。不審な行動をしているとの情報も殆ど出ない。余程住人とうまくやっていたのか、似たような匂いをさせた人間が多数来ていることに、不信感や不快感を感じる者が極めて少ない。…俺は不自然だと見ているが」
 すると羽柴の話に、秀はにっこり笑って返した。
「そりゃそーだぜ、自然に起こった事なんて、実は何にもなかったりするんじゃねーか?」
 そして彼は漸く、自らの話を始める気になったようだ。
 鞄の中に大事に運んで来た物を取り出すと、その小さな風呂敷包みを机に、秀は比較的真面目な調子で話し始めた。
「この中には、毛利伸の母親から借りて来た物が入ってる。彼の実家に行って、俺はまず例の噂を誰から聞いたか質問した。遠距離に住んでる親が、何で大学での噂まで知ってるのか、俺はそれが一番知りたかったからだ。そしたらすぐこれを出してくれた、と言うか用意してあったんだ。何かあった時の証拠になると思って、全部取っておいた物だそうだ」
 そして秀がその、上品なちりめんの風呂敷を広げると、そこには十通ほどの封書が姿を現した。
「消印は全て都区内、一番最初のものが去年の五月半ば、最後が去年の七月の日付けになってる。噂が広まったのは一年くらい前だから、時期も大体合ってると思う。差出人の名前は何処にもない。で、この内容だが、帰りの移動中に全部読んだから言うんだが、よくある嫌がらせの手紙かと思えば、悪戯や嫌がらせとは質の違うもんだった」
 そして秀はその内の一通を取り上げて、封筒の中から四つ折に畳まれた、何かのコピーらしき紙の片面を羽柴に向けて言った。
「何と調査報告書だ。勿論内容はでっち上げなんだろ。口コミの噂が流れたんじゃなくて、ニセの報告書を学生の実家に送った奴がいたんだ。警察で使ってるのとは違う、私製の報告書用紙みたいだが、調査担当者のゴム判が裏に押してあるんだ。よく見ろよ」
 秀がくるりと反転させた裏面の、日付けの入ったゴム判の文字を、羽柴は乗り出すようにして確と確認した。そこには五月十日、鎧山、とあった。
「誰かに頼まれてやったのか、最初から探偵なんかじゃないのかも知れねぇ。いかにもそれらしい報告書を作って、御丁寧に写真まで入った奴もある。目的は明らかに洗脳だろ。被害者に対して悪印象を植え付ける為に、奴等が自ら流した噂を更に広めたんだ。
 もう一枚入ってるのは、全部が殆ど同じ文面のコピーで、新しい報告書をお届けしますって内容だが、この最初の一通だけは違う文だ。さる方の依頼でこの件を調査しているが、対象が学生だから、御家族に知らせるべきだと思い、とか言う事情説明になってる。勿論『さる方』が誰かなんて書いてねぇ」
「誰かが居るとすれば耀者会だ」
 この繋がりは明白だと羽柴は言う。
「だろ。最初の段階で思い付かなかったが、あの探偵事務所のチラシは、近所一帯に配られてたじゃねぇか。どんな奴が配ったかは、さっきの聞き込み結果から想像できるぜ」
 秀はその場を仕切り直すように、口調を正して再び続けた。
「母親はそれを受け取ったが、差出人の名前もねぇし、何処で調査したものかも書いてねぇから、一通二通の内は気にしなかったそうだ。でもきっちり毎週届けられる内に、段々心配に思うようになって来た。内容についてじゃなくて、息子か被害者が、誰かに恨まれてるんじゃないかと思ったそうだ。冷静にそう判断できたらしい。
 それで去年の七夕の日に、何か起こってるのかも知れないと考えて、千石大学に出向いて来たんだ。被害者に会ってその手紙を見せて、自分の考えも伝えたそうだ。被害者も当時はこの噂に困ってたらしくてな、卑劣な行為だと酷く怒ってたって話だ。…だが、その時見たゴム判の名前までは、忘れちまったんだろうな。同じ奴を雇うとは思わなかっただろうし…」
 噂話に関与して、成人している学生の親が出て来る事には、始めから異常を感じていたのだ。今の話なら充分に納得行く行動だと思える。しかし被害者については、この状況を追及しようという意思はあった筈だ。重大な証拠を見落としたりするだろうか?。
 羽柴は聞きながら、別の可能性も思い浮かべることができた。
「いや、憶えていたのかも知れない。被害者が探偵を雇ったのは三月二十七日、そしてその頃からノイローゼ気味だった。ストーカーに悩んでいた被害者が、探偵事務所のチラシを三月末に初めて見たなら、それが切っ掛けでノイローゼになった可能性もある」
 自分を不利に追い込もうとする者が、周囲に蔓延っている状況を知って?。
「だが、それだったら最初に探偵が来た時に、警察に突き出すか何かする筈だろ?。探偵はその後も、何度か大学に報告に来てるんだぜ?」
 無論秀の意見も間違ってはいない。しかし、周囲の見方が正しいとは限らないと羽柴は続けた。
「現場に契約書は残っていた。だが報告書は何処にも無かった。探偵が持ち去った可能性もあるが、それなら契約書も一緒に持ち去る方が自然だ。と言うことは、報告書は始めから存在しなかったと考えることもできる。被害者は意図して鎧山と言う人物を呼び出し、噂話の調査書の件を問い詰めたのかも知れない。その場合は、後々ストーカーの調査などさせないだろう。だから報告書は無かった。
 それから周囲の人間は、被害者が探偵を雇った事情をいつ聞いたと思う?。調べてはいないが普通は雇う時に、他の学生や教職陣に、不審者と思われないよう話しておくだろう。一度でもそう聞けば、その後何度か現れても不審には思わない。被害者の部屋に入った、或いは被害者と話していたとは報告されていない。探偵は大学に入れる名分を得て勝手に動いていた、とも考えられる」
 確かにそう言われると、この探偵については曖昧な証言ばかりだった。その人物像からして、普通の人ではないと覚られていたように、現れては消えるような存在だったようだ。秀はこれまでの情報を思い返して言った。
「探偵って職業は奇術師か何かか?」
 すると羽柴はそれに答えられた。
「スパイだよ。お前がここに来る少し前に、耀者会グループの調査を依頼していた、警察庁の特別捜査員から連絡が入ったんだ。耀者会グループには独自の調査機関があるんだが、そこに我妻修羅と言う名前の、共産系の元秘密工作員がいるそうだ。外見的特徴も大体合っていそうな話だった。そしてそいつはもう、随分長い間阿羅醐帝人の元で働いているらしい」
 これで付近に撒かれたチラシと噂、探偵、耀者会グループが、ひと纏まりのものになって来た。しかし実際の事件を考える上では、幾らか疑問点が残っている。
「そうだったか…。如何にもらしい話だが、じゃそのスパイは結局何をしたかったんだ?。郵送した調査書みたいな、嘘のストーカー報告でも書いて、被害者のノイローゼを煽ろうとしたのか?。ついでに大学の内部を調べるとか?」
「それは俺にもまだわからない。だが今は、被害者が『鎧山』の名を知っていたことで、奴等に手違いが起こった可能性を考えている」
 その発言には秀はすぐさま乗って来た。
「どういうことだ?」
「今までに出て来た話を纏めて、俺はこう考えている。
 被害者にストーカーを差し向け、同時に不愉快な噂を流す。一定期間それを続けて、被害者の神経が参って来るように仕向ける。その内被害者は誰かに相談したくなるだろう。セールスマンには同時に探偵事務所のチラシを配らせ、被害者がそれに飛びつくのを待つ。警察に届けるには、実害のない状態ではなかなか取り合ってもらえないからな、そこまでしない程度のストーカーだっただろう。ところが、被害者はその探偵の名前を知っていて、うまく依頼が来たと思ったら逆に責められた。
 …こんな流れだったとしたらどう思う?」
 成程、もしその手違いさえなければ、正に探偵が実行犯だった可能性が考えられる。ストーカーは妄想の可能性ありとされたのも、それによる被害は全くなかったからだ。そしてうまく成功していれば、探偵は自分に有利な嘘を幾らでも吐けただろう。職業柄人を信用させる方法も心得ている。秘密工作員だったとしてもだ。
 それが失敗し、被害者に疑われたと思える時点で、本来の殺人計画に変更を加えなければならなくなった。とすれば、姿と名前を知られた探偵、などと言う目立つ存在は消した方が、却ってそこに注意を引き付ける囮にもなる。
 もし、本当にこんな経過を辿っていたとしたら、敵は警察を欺こうと、あらゆる手を打っていると秀は感じた。
「確かに、失敗したから妙なのかも知れねぇ。本当は普通に調査契約をして、適当なストーカーの調査書を出しながら、着々と完全犯罪を狙うつもりだったのかもな。それができれば消えなくて良かったんだ」
 けれど羽柴は自からの持論に、まだもうひとつ疑問があることを指摘する。
「それはそうなんだが…、さっきおまえの言った通り、被害者は探偵に会った時点で、警察に通報することもできた筈だ。そうしなかった理由がな…」
 それを聞いて、秀はしかし割に簡単に意見した。
「いやぁ、あれだろ?。探偵が耀者会と繋がってるのを知ったら、ほら、学長の孫の話であったじゃんか。親友だから下手に他人に話せない、警察にも届けられないってよ?」
 単純だが正しい答だった。そう言えばロザリオのなぎ子が話した情報だったと、羽柴は瞬時に思い出す。
 探偵は予定外に尻尾を捕まえられそうになり、切り札として被害者を最大に追い詰める、親友に関する情報をそこで出したのかも知れない。もしそれで正しければ、千石迦遊羅が避けられ出した理由も時期もぴたりと合う。そして被害者はノイローゼに陥った。
「そうかも知れない」
 耀者会グループの思惑、そして大学の周囲を囲む状況。それらは大体そんなところだろうと、かなり形が見えて来たようだ。そして後は誰が手を下したかだが。
 陰謀の様相がこれだけ鮮明になりつつありながら、実行犯については次々に候補が消えて行くようだった。羽柴は明日、犬山孝に会いに行く予定ではあるが、あくまで事情聴取の域を出ないと考えている。阿羅醐帝人に復讐を企てた者が、大人しく彼等に協力するとは思えない。寧ろ彼のアパートを出入りする、セールスマンや編集者が怪しいと今は思う。
 そう言えばあの男。
 羽柴は今日入って来た、もうひとつの情報を秀に差し向けた。
「ああそうだ、当日の午前四時頃に、大学の外を歩いていたと言う男の話だが、目撃場所からは距離があり、顔や詳細の様子は判らないと言うことだ。背格好は平均的で、妙にゆったりとしたペースで歩いていた。警備員はそれが気になったそうだ。酔っている風でもなく、仕事に出掛ける感じにも見えなかったと」
「そりゃ、その時間じゃ仕事の後だからな」
 秀はそう相槌を打ったが、
「ああ、それで、犯行時刻の頃犬山孝のアパートで、編集担当者が原稿を待っていたと言うが、俺は怪しいと思っている。帰ったのは午前五時頃だと確認を取ったが、耀者会絡みの人間だ、犬山に口裏を合わせるように頼んだかも知れない。こいつが本当に五時頃に帰ったのか、事実を確認する必要がある」
「犬山自身じゃねぇのか?」
 夕方以降の報告を聞いていない秀には、まだその辺りの事情は掴めていなかった。羽柴はかい摘んで状況を聞かせる。
「それはないと見ている。今日耀者会グループの幹部から、会長を襲撃したのは犬山だと聞いて来た。彼が被害に遭った暴力事件は、過去の恨みから復讐に行った犬山と、彼に関する過去の事件を伏せる為の工作だったそうだ。だから今は彼を手の内に飼うような形で、自社の仕事を与えているらしい。恐らくアパートを手配したのも耀者会なんだろう。都合が良すぎる立地条件だからな。
 犬山が被害者と親しくなったのは、故意なのか偶然なのかはわからない。が、その事情では奴等の手伝いなどしそうもない。まして普段は殆ど着ない背広を着せられ、妙な時間に外を歩かされるなど、仕事に関する依頼とも思えない」
「…五時頃なら目撃者はいそうだな?」
 羽柴の説明を聞き終えると、その編集担当者の目撃情報集めには、秀も確実性を感じていた。今日周辺の聞き込みに出た巡査達に、またもうひと仕事働いてもらうことになるだろう。
「勿論だ。何しろ特徴のある男だからな、黒岩陽炎は。すぐに白黒はっきりする筈だ」
 午前五時頃の目撃情報が出なければ、当日原稿を貰いに来たこと自体が計画の内、と言うことになるだろう。但し黒岩は恐らく大学内部のことを知らない。犬山の話を聞くにしても、妙なことを尋ねれば計画を覚られ兼ねない。犬山は協力者にはなり得ないと思うが、まあ、それは明日の訪問後に考えるとしよう。
「明日が楽しみだな」
 一連の話の最後に、羽柴はぽつりと言った。
 否、彼はそれで会話は終わりだと思っていたが、秀にはもうひとつ報告することがあった。羽柴が新たに振った話題から、どう繋げて話すかをずっと考えていたのだが、
「うーん、犬山や朱天が実行犯じゃないなら、やっぱり大学の中の奴かなぁ?。盗品も大学から出て来たって聞いたが」
 と、続けて実行犯を推理する話を始めた。するとそれに答えるように、
「今日の調査報告を見れば、大学周辺に耀者会の人間は多過ぎる程多い。この状態では、誰にしても耀者会に接触できただろう。被害者の顔見知りは大勢居るからな…」
 と羽柴は言った。彼は改めて大学内の人間を洗い直すつもりでいる。そこに来て新たな秀の報告は、その手間を少々省かせるものになる筈だった。
「で、最初の話の続きになるんだがな、毛利伸の母親が大学に面会に来た時、被害者に連絡先を教えておいたら、その後二回電話が掛かって来たそうだ。一度目はさっきの手紙の内容を確認する電話で、今年の一月だったと言っていた。正月休みに実家に帰ってた息子が、大磯に戻ったすぐ後だって話だから確かだろう。その頃には例の噂は沈化してた筈だがな。
 それで二度目はすぐ後、一月の終わりか二月の始めだったらしいが、その時に妙なことを聞かれたそうだ。血縁者の中に、夢遊病患者は居ないかって言うのさ」
 無論羽柴がそれに関心を持たない筈はない。被害者も彼の行動に疑問を持っていたと…?。
「それは…困ったな…」
 思わず正直な感想が羽柴の口から漏れたが、秀はここぞとばかりに事実を推理し続ける。
「被害者は毛利伸が、無意識に歩き回ってるのを知ってたんだな。そりゃそうだろ、ふたりはよくよく一緒に研究室に居たって言うしな。でも親族にそんな患者はいないらしい。そうなると、知ってて大人しく殺されるのはなぁ…?」
 否、実行犯の線が薄くなった以上に、羽柴はもうひとつの可能性も消えたと知る。
「ストーカーにもなり得ない。彼だとわかった時点で、被害者がそこまで怯える必要はなくなる。じゃあ何だ?、事件とは関係なく歩き回っていたのか?、毛利伸は」
 いや違う。
 吐き捨てた後に羽柴は思い返した。昨日伸が潜伏する場所を訪ねた時、征士はそれが催眠行動であると、かなり確証を得て話をしていた。事件に関与しているのは間違いないと言った。でなければ事件を境に止んだ意味が解らないと。
「…今すぐ答は出せないな」
 羽柴は未だ見えて来ない一点を切に求めている。
 それを見い出すのが仕事とは言え、何かによって目隠しされた状態すら感じている。何か、重要な情報が欠けているように思う。そこから全てが繋がりそうな予感の中に、彼は今後の方向性を考え続けていた。確実に見えているものから充分に捜査しなければ、と。
 しかし余りに考えに集中していたせいか、目の前でお土産を広げて食べていた秀には、暫く気付かなかったようだ。



 翌日、まだ朝と言って差し支えない頃だった。
「一、二、三、四、五、六、七、八、九、十…」
 征士はゆっくり数を数えると言った。
「…どうなっている?」
「別に…」
 伸の様子は何も変わっていなかった。そう、昨晩読破した本の内容から、早速手順通り実践してみたのだが、失敗だったようだ。
「『必ず術に掛かると信じろ』と言った筈だ」
「僕は信じてるよ!、君の気合が足りないんだ!。『必ず掛かる』と信じなきゃ駄目だ」
 そんな示し合わせでもしない限り無理だろうと、考えること自体に自信のなさが窺えるようなもの。
「素人だから仕方がない」
 始めから諦めているのには訳がある。
「古典的過ぎるよー」
 それは征士が先程自作した『振り子』のことだ。催眠を行う最もポピュラーな方法として、振り子を目で追わせる場面は、映画などにもしばしば登場するだろう。過去の西洋の医学者達は、当時誰でも持っていた懐中時計を使ったものだが、この本では代用品として、五円玉を糸で吊るした振り子を使うことになっている。出来上がったその物体は、呪術に使う藁人形ほどに胡散臭く映った。
「三十年前の本だからな」
 否、方法については過去も現在も変化はあまりない。紹介された年代がどうあれ、術者の技量の問題と言えるのだが、ふたりはこのやり方には今ひとつ馴染めないらしい。
「こんなのに集中しろって言われてもねぇ」
「そういう意識では駄目だと言っている」
 問題は『手順』にある訳ではなかった。
 大学の図書館に納められている本だけあって、以前買って来た一般書とは、比べ物にならない高度な情報源ではあった。一口に催眠暗示と言っても、一時的に相手の心理作用を制御するものと、継続的に制御するもの、特定の行動に反応を起こさせるものとがあることなど、大別化して詳しく説明が為されている。しかしそれが書かれた時代背景に拠る、言葉使いや凡例の古臭さがどうにも引っ掛かるのだ。

『まったく数の観念は、人知の発達とともに発達してきたものでありまして、今日でも未開な土地に行きますと、一と二との区別は付くが、三つ以上になりますと、よくわからなくなっていく人間がいるといいます…』

 どう考えても信憑性の高い本とは思えない。これでは。
 又手法以前に確実性も疑われた。この本には術の施し方と使用例、解き方も記されているが、他人が掛けた術を解くとなると、術者と同じやり方で催眠状態にしなくてはならない。別の方法でしか催眠を行えない場合は、その上に新たな暗示を掛け、元の催眠構造を深層意識から探り出すと言う、面倒な上、分析と推理に頼る方法しかない。それを「素人」ができるものだろうか。何れにせよ、まず術が掛からなくてはどうしようもないが。
「まあ無理かも知れないな」
 征士はすっぱり諦めることにしたようだ。医学部か教育学部、或いは商・法科の学生なら、何かしら心理学に通ずる知識も持ち合わせただろうが、彼は設計工学科の動力機械専攻だった。まず基礎的な理屈も違う世界だろうと思えた。
「じゃどーすんの」
 他人事のように返す伸にも、協力する気がない訳ではないのだが。
 彼に施されている催眠暗示は、言葉が鍵になって行動を起こすことは予想済みだった。だから何も登録されていない、受信用の携帯電話を離さないよう暗示されている。実は昨日、暗示についての項目を読んだ際に、征士はその携帯電話を取り上げてみようと試みた。けれど取り上げられなかった。代わりに右ストレートが飛んで来たので、もう二度とやるまいと思った。それ程強力な暗示が掛かっているようだ。
 設置電話のみの時代から、電話で催眠状態にさせた殺人事件は起こっていたのだから、確実に術を施せる者さえ居れば、あらゆる悪事が可能になったと言える現代。しかしそれにしても、幾らでもある言葉の中から、たったひとつのキーワードを探すと言うのは…。
「やはり彼等に連絡してみよう」
 征士の頭では、面識のない博士から想像できる言葉は僅かだ。博士をよく知る者の方が、思い付く数は当然多いと思えた。
「ああ、遼達に?。そうだね…十時頃にはいつも大学に来てるから、そのくらいにかけたらいいんじゃない。大学に居る時じゃないとあんまり意味ないだろ?」
 伸の言うことは尤もだった。特に博士の居た部屋、博士が関わっていた場所などに、そのヒントがあるに違いないだろう。今はまだ午前九時を過ぎたばかりなので、もう一時間ほど待って連絡を取ることにした。しかし何もしないで待つのも退屈なので、征士は自分なりに思い付く言葉を探し始めている。
『小田原、千石大学、史学、伝奇学、研究室、西校舎、五階…、ん?』
 ところがたったそこまでで、征士は早々に壁にぶつかっていた。
「ごかい」と言えば「五階」と「誤解」、更にはゴカイと呼ばれる生物もいる。どれにしても「ごかい」には違いないが…。
 そう、そんな紛らわしい言葉では問題だった。又普段の会話の中に出て来易い言葉では、耳にする度催眠状態に陥ってしまう。それは「普通は使わない言葉」でなければならない。けれど、
「…普段使わない言葉と言って、思い付くものがあるかと聞いてもな…」
「何それ?」
 無論そんな質問をしても、伸が思い付く言葉などあり過ぎる程ある。
「使わない言葉ねぇ…、博士のメモには何て書いてあったっけ?」
 カレンダーのページに綴られた文字列を、伸はぼんやり思い出していたが、
「あれはよく使うだろう…」
 起動、消去、新規などでは、理工学部にでも行けば、さぞかし大変なことになるだろう。あれは何か別のことに対する覚え書きだと思える。そしてまた考える。
「…卓上カレンダー、二百字詰め原稿用紙、目玉クリップ、探偵事務所のチラシ」
「は?」
「博士の机の上に置いてあった物だ」
 借りて来た本に拠ると、通常は合い言葉となるような、双方に思い付き易い言葉を使うのが良い、と書いてあった。博士の部屋にいつもある物なら、伸は普段から見ているだろうと考えていた。
「モンブラン、の万年筆、赤鉛筆、ノンダスト消しゴム、フォトフレーム…」
 その時征士はある英単語を思い出した。
「フラジール?」
 すると、
「‥‥‥‥‥どうした?」
 それきり伸はうんともすんとも言わなくなった。瞼は開いているが、眠ったような目をして止まっている。正に催眠状態になっている。
 成程、と征士は本の記述の正しさに感心した。理由は解らないが、この術を掛けたのは博士自身だと判る。同じ本を読んで催眠を行ったとすれば、この単語を選んだこと自体が物語っている。博士はこの単語を無意識ながら毎日見ていた。勿論伸も記憶している筈の言葉だ。
 しかし感心してばかりはいられない。
「おい、もしもし?、何とか言ったらどうだ」
「・・・・・・・・」
 返事はない。前途の通り博士の掛けた術では、博士が決めた命令の出し方をしなければ、どう扱うこともできないと言う訳だ。それはまるでC言語のプログラミングのようだ。用意された環境のルールを逐一守らなければ、出来上がったソフトはハードをうまく制御できない。場合に拠っては全く動作しない。今は正にそんな状態だろう。
 …ハードを制御するプログラム、ルールのある命令語。
「あれだ」
 今さっき話していたばかりだが、博士のメモに残された言葉は正にそんな印象だった。本のページの間に再び戻された紙片を取り出すと、征士はそこに書かれた文字を具に眺めて、その最初に書かれた文節を読んでみた。
「『起動と消去』…『サーチ』…」
 その意味は今ひとつ理解できないが。
 しかし征士がそこまでを読み上げると、伸は静かにその場を立ち上がった。自分の鞄の中から財布を取り出すと、玄関の方へ行こうと歩き出していた。見ている分に、恐らくそのままドアを開けて、外に出て行ってしまうことが予想される。
 追い掛けなければ、と、部屋の電気機具のスイッチを切る余裕もなく、部屋の鍵と財布だけを持って征士は、もうドアの外へと行ってしまった彼の後を追った。一体何処へ行くのか、何をするのかまるで判らないけれど、隠されていた真実が見えて来ることを期待したい。
 それは亡くなった博士が残した、大切な手掛かりであろうから。



つづく





コメント)推理がかなり佳境に入って来ましたが、やっぱりまだ終わりませんでした(泣)。4番のコメントに「これで丁度半分くらい」と書いたのは、話の中の時間であって、文の長さではなかったのです。…と自分で気付きました(苦笑)。あああ、12番以内で終わることを願う!!。
ところでこの段階でもまだ犯人ははっきりしませんが、もう判って来たかな?。ヒントがあるとすれば、やっぱり犯行時刻の時が一番重要です。コレはSF・ファンタジーな話じゃないから、妖邪力で突然阿羅醐が現れた、とかゆうのは勿論ナシですよ(笑)。

※本文引用(古い本の記述)/よい名前の選び方 梧桐書院




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