麻雀伸
ハチイチヨンイチ
#1
Funky Mah-jan



 今年の春から純が社会人になると言う。
 月日の流れるのは何と早いことか。あの小さかった純がもう既に立派な大人だ。いつの間にか身長も秀と伸を越え、昔の姿を連想させる点はあまり無くなった。それは少しばかり淋しくもある。
 思うところは色々あるけれど、その春の日、久し振りに五人と純は柳生邸に集まった。無論この鎧ファミリーの、最後のひとりの門出を祝う為である。
「それにしても、純がこんなに頼もしくなるなんてね」
 ナスティがそう言うのは、純のこれまでの経緯のことだった。子供の頃はそこまで勉強が得意そうでもなかったが、彼は自らそれなりの中学、高校に通い、大学も自ら決めた社会学部に入学した。そして無事卒業し、就職先も教養系の出版社だと言うから、本当にブレない成長をして来たものだと思う。それを彼は、
「あはは、それはナスティのお陰だよ。小学校から大学までずっと、色んな事を教えてもらって来たしさ」
 明るい口調でそう話した。直接家庭教師などした訳ではないが、まあ確かに、彼女のような人を身近にして育てば、自ずとその方向に関心が向くだろう。若くしてその道の第一人者となったナスティだ。またこの五、六年は、遼もナスティの研究発掘チームに参加しており、純に取っては良い目標になっていたと思う。
「一応同業者と言っていいようだし、よろしくな!」
 その遼が声を掛け純の肩を叩くと、彼は少し照れ臭そうに返した。まだ横に並べる存在になったとは、堂々と言えない大卒新人の覚束なさが感じられた。
「こちらこそ遼…兄ちゃん!。これからは僕もねぇ、仕事ついでに全国足しげく歩き回って、色んな発見をしたいと思ってるんだ。それが何か、みんなの役に立つといいな」
 だがそれを征士は、気負い過ぎだと評して笑った。
「殊勝なことだ。史学は役に立つか立たないかなど、考えない方がいいぞ?」
「えっ、そうかな…??」
 今は目をパチクリさせているが何れ、遅かれ早かれ、その感覚は自然に会得して行くこととなる。大学では学問はそれぞれ大差無く扱われるが、社会から見れば、直接人の役に立つ技術は理科や工学、或いは司法的な知識の方だ。就職後は嫌でもそんな現実を見るだろう。なので、今から夢の無いことを言うのもどうかと、秀は単純にエールの言葉を送る。
「別にいいじゃねぇか!、俺は勉強的な事は教えらんねぇけど、聞きたいことあったら何でも聞いてくれよな!」
 ところが、さすがに純はこんな遣り取りに慣れており、秀には敢えて笑いを取りに行った。
「え〜、秀…兄ちゃんに聞きたいこと〜?」
「何だよ!!」
 不信そうな上目遣いで秀を見上げた、純の思惑通り周囲の皆が笑い出す。そうして皆が同調すると、相乗効果で誰もがどんどん楽しくなって行く。
「秀に聞けるのは中国語くらいだよねぇ」
「あとは旅先の飯屋な」
 ハハハハ!、と、伸と当麻の弁に笑いながら頷く面々は、しかし、
「あらでも、そのふたつはかなりポイント高いわよ」
 ナスティがそうフォローするまでもなく、実際は結構役立つ知識だと皆知っている。笑っておいて伸は、
「なんだよね、実はその面ではかなり頼りにされてるんだよ」
 と純に対し、秀の面子を繕うことも忘れなかった。否、どの道純が秀を心底馬鹿にすることもないだろう。正にその通りに、純は最も懐いていた秀にすぐ素直な表情を向けた。
「あ!、そうだ、ひとつあった!」
「何だ何だ?」
 純の閃いた、秀に聞きたい事とはこうだ。
「麻雀教えてよ!。僕テレビゲームではできるけど、実際やったことないから、ルールをあんまり憶えられなくてさ」
 すると、それには覚えのある秀が力強く応えて見せ、
「おっ、そりゃいいな!。折角集まってんだし、これから半荘やるか!」
 またそれを耳にすると、他の仲間達もすぐ乗り気になって目を輝かせた。意外に彼等はこのゲームが大好きなのだ。特に当麻と秀は高校生の頃には、勝ち数を競って対戦して来た経緯がある。
「よしそうしよう。俺達も一年ぶりだ、ここで過去の決着をつけてやる」
 それまで大人しくソファに寄り掛かっていた当麻が、途端にパンと膝を叩いて立ち上がった。やると決めたら一秒でも時間が惜しいように。そして今度は本当に意外に、
「はーい!、今回は私も参加させて下さーい!」
 ナスティが確と手を挙げていた。以前は勉強中だった彼女も今は、見ているだけでは飽き足らなくなったひとりだ。正真正銘のお嬢様であり、一線級の研究者でもある彼女が楽しいと認める、大人の遊戯は憶えておいて絶対に損はない。と、思ったかどうか、秀は自信を持ってその場を纏め出していた。
「じゃ、メンバーどうすっか決めようぜ?」



 七人のメンバーをどう割り振ったかは。
 まず純は見学してもらうとして、いつものように真剣勝負をしたい当麻の希望で、秀と当麻のふたりは半荘、その他四名は東場か南場のどちらかで交代することにした。レディファーストだの適当な理由で、東場はナスティと、じゃんけんで負けた遼が参加することになった。場所決めのサイコロを振り、遼が東家、ナスティが南家、当麻が西家、秀が北家と決まり、それぞれ席に着くときびきびゲーム開始に動いた。
 その目紛しい様子に純は些か戸惑った。テレビで見る自動卓は静かに一瞬で牌が並ぶが、人が機械のように牌を混ぜ、並べ、配牌に至る過程は、機械より機械らしい妙な印象を受けた。誰もが遊びたい一心で纏まっている。真面目にゲームを楽しもうと言う意識が、鎧戦士の戦闘より遥かに無駄なく、揃った動作をしているのが純には少し笑えた。
 まあ嫌々する事と、喜んでする事の違いかも知れない。配牌が終わり秀が理牌を済ませる頃、もう親である遼は場に一枚西を捨てていた。憶えが遅かった彼でさえ既に手慣れたものだった。ナスティもその後にすぐ9ソウを捨てた。次が当麻、その次が秀の順だ。
「俺のやることをよーく見てな?。質問はコソコソ話でな?」
「わかってるよ(笑)」
 秀のすぐ横に陣取った純は、秀の手牌と場に出ている牌を幾度も見比べている。真面目に勉強したい意識が感じられるのは良い事だが、対面に座るナスティが思わぬ指摘をした。
「純、目線に気を付けなさいよ、秀の手がバレちゃうわ」
「えっ…」
 そう、昔は単に子供らしい反応だけの彼だったが、実は大人になった今も、かなり感情が顔に出易い性格のようだ。今、彼は牌山に表示されたドラを見ていたが、恐らく少し喜んでしまったのだろう。その程度の些細な事も、周りに知られれば損だとナスティが教えた。
「言わないでおいてくれれば良かったのに」
 当麻が言うと、ナスティもまあ冗談半分の話と受け取り、
「あら、フェアじゃないでしょ?」
 と笑った。勿論当麻は秀と成績を競い続けている為、半分は本気の発言だったが、ズルして勝っても駄目だと、ふたりを見て来た彼女の裁定には従うしかない。もし秀が負けた時、純のせいにされるのも可哀想である。そんな配慮をしながら東一局が始まった。
 五巡目までは特に動きはなかったが、六巡目に入る時、秀の捨て牌を見て遼が元気良く声を出す。
「ポン!」
 すると、東場ではギャラリーとして見ている伸が、やや意地悪な様子で笑った。
「わーい!、遼が鳴いた!」
「いいだろ別に!」
 しかし伸にそうからかわれるのも致し方ない。秀も続けて、
「遼はすぐ鳴くからなぁ〜」
 と言うと、既に「鳴きの遼」は皆に周知のことのようで、ナスティも当麻もクスクス笑っていた。元より感情的になると涙が出易い質の、人物像を重ねて「鳴きの遼」は秀逸な徒名だ。否、麻雀に於いては決して泣いている訳ではないが、トイツを集めるのが好きな傾向から、どうしてもポンに走り易かった。
 現在彼は秀の捨てた発を貰い、役牌のポンをひと組晒している。これで遼は少なくとも上がれる手は作った訳だが、次のナスティが流れ良く言った。
「そんなこと言ってる間にリーチ!」
「え、もう?。お姉ちゃん…、ナスティって意外にやるんだね」
 純は目を丸くしていたが、他のメンバーは既にナスティが、普通に打てるレベルなのは知っている。寧ろかなり達者になって来たので侮れないと秀は言った。
「さすがに研究者は地頭が違う。でもって俺もリーチだ!」
 当麻がさっさとツモ切りをした後、秀はツモった牌を見て追っかけリーチに出た。同じ六巡目のリーチがふたり。他のふたりにプレッシャーがかかるが、恐らく当麻も適当にテンパイするだろうと、他の三人は落ち着いて見ていた。
 ただ、プレッシャーがかかろうと、リーチをかけようとかけまいと、あがれるかどうかはまた別の話だ。今の四人は初心者ではないので、入って来にくい待ちを選択することはないが、それでも当たりは偶然性の為せる業だ。そして、誰の振り込みもなくツモもなく、東一局は十一巡目まで回り、親の遼がツモって手牌を切り出した後だった。
 ナスティが引いて来た牌は8ワン。当麻は捨てているから当たらないが、秀の河に2ワンと5ワンがあるのが気になる。所謂スジは、相手がピンフ系だと判る時の危険な牌だが…
「ああ、嫌だわ、これ捨てたくないけど、どうか通してー!」
 こんな様子で恐れながら牌を捨てることを、「拝み打ち」などと言うことがあるが、確かにナスティは当たらぬよう必死で祈った。けれども、
「ローン!!」
「…やっぱりねー…」
 リーチをかけていたナスティは、必ずその牌を捨てなければならず、振り込みを回避することはできなかった。まあそれが麻雀のひとつの駆け引きである。
「秀兄ちゃんはやっぱすごいよ、トントントンと作ってアガれるんだから」
 と、純が感心していると、当麻はナスティに同情するように言った。
「俺も8ワンだと思った。純のお陰で秀がドラ持ってるのは判ってたし、降りておいて良かった」
 どうも彼は秀がリーチをしたのを見て、予定のテンパイから形を崩したようだった。余裕のないプレーヤーにはできないことだが、もしナスティと当麻の順番が逆なら、ナスティもリーチはしなかったかも知れない。ドラがあると判ると、それだけ周りも気を使うからだ。
「ハハハ!。リーチ、ピンフ、ドラ2っと。まずは幸先いいスタートだ!」
 秀の宣言したあがり役の内、リーチとピンフのみならたった2000点だが、ドラ二枚で7700点まで跳ね上がる。因みにドラは6ワンで頭にしていたが、残り二枚のドラは遼が持っていた。さすがに使い易い6でドラポンできる可能性は低く、遼も頭にせざるを得なかったが、もし彼があがればトイトイ、発の他に東もコーツにして役牌2、ドラ2と確実に満貫以上になる計算だった。
 遼は常にそんな風に大役を狙って打って来る。それだけになかなかあがれない麻雀でもあった。

 こうして東一局は、これまでの五人の打ち方と何ら変わらない、いつもの状態で開幕したが、それを前半はギャラリーとして、当麻の背後で見ていたふたりは、
「通常通りの流れだな」
「んーでも、ナスティがどう来るは未知数じゃない?」
 と、卓を囲むメンバーには聞こえない声で話していた。否、当麻にだけは微かに聞こえていたようだが、
「下手ではない。と言うだけだと思うが」
「まあね、それを言ったら、純が張り付いてる状態の秀が、いつも通りかどうかも判らないけどね」
「そんな事で秀が乱れるとは思えん」
「そうじゃなくて、純の運が秀に被って来そうじゃないか」
 このメンバーの中では、秀が特に麻雀に長けていることは、既に誰もが認める中でのこと。そう話した伸は、もし秀が普段の運気で無いなら、今日はワンチャン有りだと喜んでいるようだった。
 そんな彼を横目に見て、本物の戦闘には消極的でも、こうした勝負には意外に色気を出すと、征士は面白そうに返した。
「本気でやるつもりか?」
 すると逆に意外そうな顔で返された。
「何言ってんの?、勝負は勝たないと意味がないって、君がいつも言うことだろ?」
 だが今日は、メンバーを途中で入れ替える、イレギュラーなゲームである為、征士のモチベーションは低かったようだ。
「東場の引き継ぎだぞ?。金でも掛かっているならともかく」
「いーけないんだ!、賭け麻雀が見付かったら逮捕されるのにー」
「逮捕されるほど高額ではない」
 悪びれず答える征士に、実態を大体知っていながら、伸は責めるような視線を向けている。ただその瞳の奥で笑っていることは征士も知っていた。ので、
「では何を賭ける?」
 珍しく自ら勝負を煽った。珍しく、とは、普段は言われなくとも伸の指摘通り、勝負は勝たなければ意味がないと、彼は意欲的態度でいるからだ。けれども今はあまり気が乗らない為、何かご褒美でもあればと言うところだった。
 それを暫し考え伸は、
「何か、賭けの対象になる物、僕に残ってんの?」
 卓の上を眺めながら意味深長に笑った。


 東二局は、比較的早く決着した一局に対し、誰もあがれないまま捨て牌の河が三段目に入った。秀が十四巡目で漸くリーチをかけたが、他の面々の動きは変わらず鈍いままだ。既に三つのポンを晒す遼は唸っている、ナスティもツモる度に渋い顔を見せる、当麻は態度こそ変わらないが、先程から手配を殆ど弄っていない。誰もが上手く行っていない様子だった。
「誰もアガんねぇのかよ〜?」
 と、残り一巡の十七巡目にツモ切りした秀が呼び掛けるが、彼の捨て牌、ドラである東を見ても、誰も手を出そうとはしなかった。秀以外リーチすらしていないので、恐らくそれぞれ悪手で身動きが取れない状態に、流局を覚悟する段階だったのだろう。
「ああ…、私の親の場が終わっちゃう…」
 悲しむナスティの捨て牌、中央の5ワンにも誰も反応しない。秀はワンズを多く捨てていた為、彼が当たらないのは予想できたが、当麻も遼もロンできないようだった。その当麻が捨てた1ピンも誰も待っていなかった。最後に遼が祈りを込めハイテイ牌をツモるが、やはり手牌は揃わず、彼の捨てた2ワンも誰も当たらなかった。結果この場は流局となった。
 それを誰より悔しがったのはナスティだろう。
「あーあ!、ダブ東で東二枚持ってたのにー」
 言う通り自分の風牌である東二枚に、食いホンイツ、食い一通と言う高い手だったがあがれなかった。これであがれば倍満だったので、テンパイしていただけに悔しいところだ。実は秀と同じソウズを待っていた。それを当麻が、
「秀のリーチを警戒し過ぎたかな。どうせリャンウーソウだろうが」
 そう言うと、判っていて絶対振り込まない当麻に、秀は苛立ちながらも笑って返した。
「そう言わずたまには捨ててくれよなぁー!」
 尚、ふたり同時にロンになる場合、当麻から数えて順番の早い人を優先する為、秀が勝利することになる。どの道ロンでは勝てなかったナスティだが、ふと遼の手配を見て、
「あらやだ遼、四枚しかないのにテンパイしてないじゃない」
 そう、得意の鳴きでタンヤオのポンを三種作りながら、あとは頭の二枚と奇妙なバラ二枚だった。恐らく当麻と同じく、秀に振り込まぬよう手を崩したのだろう。結果この場は遼のひとり負けとなった。
「罰符3000点〜」
 と、遼に手を出したナスティ。意外に明るい声色が聞こえたので、それで少しは気が晴れたのだろうか。
「罰符って何?」
「流局した時はね、テンパイしてない人はノーテンと言って、千点ずつ他の人に払うのよ」
 質問した純には丁寧にそう説明した。すると当麻も純に向いて、
「ノーテンはゲームソフトにもあるだろ?」
 と言うが、どうも彼はピンと来ていない様子だ。それには自動で進むゲームならではの、ちょっとしたからくりがあると思う。純の表情を見て征士が、
「アガリ表示の不親切なゲームは、一瞬で次場に移ることがある。何故か点数が引かれているが、わからないまま流すこともあるだろう」
 そんな話をすると、ああ確かにそんなソフトはあるなと、誰もが納得したようだった。苦心した役作りであがった時は、暫く手配を眺めたい気持になるものだが、ゲームの仕様により、数秒で片付けられてがっかりする時がある。割と多くの人が経験している事だと思う。が、
「あれ君、ゲームなんていつやったの?」
 伸にはその点の方が気になるようだった。否、いくら征士がゲーム機で遊ばないとは言え、今やモバイルアプリが多数あるのだから、出先で暇潰しに遊ぶこともあるのだろう。

 引き続きナスティが親のまま東二局となった。しかしこの場も彼女にはあまり運が巡って来ない。誰しも親の時に上がりたいとは思うが、配牌もツモも良くなければ、また何とか流局に持ち込みたいところだった。
 けれど今度は割合早い七巡目に秀がリーチした。彼は前場でリーチ点棒を一本預けている為、この場でそれを回収したい意欲があった。
「リーチ!。今度は来てくれよ〜!」
 すると秀がリーチ表示に捨てた白を拾い、またもや遼が鳴きに出ようとしていた。何しろこれまでの三局毎回、このゲームでも二度目のポンだから「またもや」だ。ただ、
「ポンするぞ!、悪いが」
 と言った、何が「悪い」のかと言えば、遼の晒した牌はこれで白三枚、中三枚なのだ。
「遼、アガったら三元役か?」
 先に悪いと謝るくらいだから、恐らくそうなんだろうと当麻は読む。更にドラ一枚でもあればかなり高い役になる。皆もう絶対に発は捨てられないと思った。手の内はバレてしまっても、それを見て相手が畏縮するのは、チーポンカンの利点でもある。
 けれどその後はまた流れが停滞した。十二巡目まで誰にも動きが無かった。十三巡目のツモ牌を握り締め、
「そろそろ嫌な感じね…、これ当麻と秀は当たらないわね」
 恐る恐る1ソウを河に捨てたナスティは、遼の顔を見てホッと息を吐いた。すると純が、
「何で当たらないってわかるの?。秀兄ちゃんは捨ててるけど」
 と質問したので、麻雀の基本中の基本である読みについてこう言った。
「それも捨て牌から推理するのよ。まずスジを憶えましょう」
「スジ?」
 但しスジと一言で言えても、場に拠って複数のスジが生まれるもので、全てを読み尽くすのは至難の技だ。東一局で秀のピンフを読めたナスティは、表スジと言われる最も基本的な読みだけ説明した。
「麻雀はイースーチー、リャンウーパー、サブローキュウ、って三の倍数のセットが当たり易いのよ。シュンツを作る時は123って、必ず三つ数が進むから、もし1を捨てて当たらなかっら、4も当たらないのはわかるでしょう?」
「んん…?」
 多分に数学的な話なので、直ちに理解するのは純には難しいようだ。しかも当麻のケースには当て嵌まらない為、そこで当麻の背後に居る伸が、
「当麻はワンズが高いよね〜?。読みってそう言うことだよ?」
 と茶々を入れると、それについては理解できたようで、純はしげしげと当麻の捨て牌を眺めて言った。
「ああ、当たる確率が高いってことか…」
「言うなよ…。まあ純以外は判ってるだろうが」
 当麻は一応文句を付けたが、まあ、十三枚の捨て牌の内ワンズが9ワンのみでは、嫌でもワンズを集めているのは判ってしまう。稀にフェイクもあるが、理論的にそうなることを予想するのが読みである。なので当麻に対しては皆ワンズを警戒していた。
 そしてもうひとつの懸念は、
「役牌来るなよ〜〜〜!、…来なかった!」
 そう、遼がもし大三元を和了したらヤバい、と言う点だ。秀はリーチをかけている為、ツモった牌を必ず捨てなければならない。できれば高いあがりには振り込みたくないが、この時は安牌と言える8ソウを引いて助かった。次にその遼がツモして、やはり彼の欲しい牌ではないと知ると、
「出ないなぁ…、誰か持ってんのかなぁ?」
 十四巡目に来て、誰かとトイツを持ち合っているんじゃないかと疑い始めた。トイトイで三元役を狙う彼としては、あとふたつのトイツの内ひとつを、ポンかアンコにしなければあがれない。トイツの片方は無論発なので、もう片方が入っても小三元にはなる。だがその2ピンも全く場に出て来ないのだ。どうも雲行きが良くないと感じながら、ツモった1ワンを捨てた時だった。
「こっちが当たりだ!」
「うわ、しまった!、考えてなかったぜ…」
 当麻がロンを宣告し、遼は不注意から彼に振り込んでしまった。自分の手作りに集中し過ぎると、しばしばそんなうっかりもで出て来るものだ。そして当麻の倒牌を見るとナスティは言った。
「やっぱり多面待ちだったのね、絶対ワンズは捨てたくなかったけど」
 彼女がやっぱりと言うように、当麻は多面待ちを作るのが巧いと既に知られている。今回はワンズの1、2、3、6、どれが出てもロンだった。それを満足げに、
「大したことないが食いホンイツ、ドラ1。5200な?」
 と遼に伝えると、今度は背後から征士の声がした。
「ホンイツばかりよくやるな…」
「いいだろ別に!」
 まあ当麻がホンイツ、チンイツを好むのは、多面待ちを作り易い役だからであり、彼としては理に適った事をしているに過ぎない。運が良ければ九連宝燈や緑一色も狙えるからだ。


 当麻が勝って、その当麻に漸く親が回って来た。東三局はこのまま良い流れに乗りたいと、親である彼は考えている筈だった。
 ところがこの時は、当麻が一度チーをしただけで、十巡目を過ぎても誰もリーチしない上、遼も珍しく鳴かずに頑張っていた(恐らく七対子だと読めていたが)。こうなると場は静かに煮詰まって行く。誰も状況を打開できず考え倦ねているようだ。十一巡目にナスティのツモが回って来た頃、
「親だっつーのに、ホントにリーチかけねぇなぁ当麻は」
 秀はそんな事をボヤき始めた。常になるべく身動きし易くしている当麻は、
「俺の麻雀はリスク回避が鉄則だ。余程いい手ができた時以外はな…、チーしとくか」
 と話しながら、ナスティの捨てた3ワンを拾い、ふたつ目のシュンツを場に晒す。ワンズの123、ピンズの789、どうやら当麻の狙いは…と他の三人が思った時、再び背後の伸が、よく聞こえるように大きめの声で言った。
「純!、当麻はチャンタやってるよ!」
「おまえなーっ!」
 さすがにこんなネタバラしは反則行為だが、プレーヤーの三人は言われなくても判ること。そして、
「やっぱりそうなんだ、僕もそうかな?と思ったよ」
 純でさえそう言ったので、取り敢えず伸の言動は不問になった。あくまで純に教える目的であり、教えたからと言って当麻が不利になる面は、殆ど無い状況だったからだ。
「だよな!、いくらゲームしかやったことねぇったって、晒してるのがそれだからな」
 秀がそう続けて純を褒めると、当麻も軽く頷きながら笑った。
「さすがにそこまで知らない訳でもないか。見くびり過ぎたか俺は?」
「まあね?」
 純もはにかみつつ笑って返したが、その遣り取りが微笑ましかったせいか、以降苦しいばかりの雰囲気が解かれ、あがれそうになくても何となく和やかになった。それぞれのツモが小気味良くトントンと進み、十六巡目に突入すると、また流局になるかと誰もが思い始めた。そんな時、
「お、ツモった」
 やはり良い流れでこの場を迎えた当麻に、欲しかった9ワンが入って来た。1ソウでも上がれたシャンポン待ちは、チャンタで唯一二面であがれる待ちであり、当麻はセオリー通りに上がって見せたのだ。
「食い純チャン、ドラ1、2600オール!」
「ええ〜マジかよ?、今日はツキあるなァ当麻」
 ここで連続して上がった当麻は、秀に一万点以上差をつけたので、ボヤかれるのもまあ仕方がなかった。特にこの場はリーチできず、ドラを含んだシュンツをチーするに留まった、秀としては不本意な一局だった。まだ東場の内なので、別段彼は焦っているようでもないが、ここまでの流れを見て純が、
「うーん…?、リーチはかけない方が得なのかな?」
 と、首を傾げ始めていた。確かに初心者の内は、麻雀らしい魅力や醍醐味はリーチにあると見えるだろう。否、それは間違いないことだが、何をするにしてもメリット、デメリットはあるものだ。
「いーや、かけた方が絶対得だ、それだけでイーハン上がるんだからな」
 秀はそう話した。ろくな手が作れない配牌だった時ほど、リーチのみで上がれるのは秀逸なルールだと彼は思っている。ゲームソフトではできないことも多いが、先付けリーチのルールほど助かるものはない。ギャンブル性は高いがゲームらしい楽しみがある。が、
「でもその時々の状況によることよ?、臨機応変にね?」
 ナスティがそう付け加えた。牌山が少なくなった頃、誰かに振り込みそうな牌が残っている状態なら、わざわざリーチして振り込むことはない。待ちの形を良くする為にリーチを見送ることもある。敢えて最後までリーチしないのも戦略だが、それであがるには手の内で確実に、ある程度の役を作らなければならない。
「そーかぁ、難しいなぁ…」
 どの道一本調子では駄目なのだと、局面を見ることの大切さを純は知った。

 当麻が親のまま連荘で東三局、一本場となったこの時、丁度ナスティに聞いた話の通りの事が起きた。まだ序盤の五巡目に意外や意外、当麻が最初に声を出したのだ。
「リーチ!」
「えっ…」
 リーチをかけない戦法を主体とする当麻が、早々とリーチに出るのを見て、これが臨機応変と言うことかと純は納得した。驚く彼に秀が、
「ほらな?、いい手ができてりゃリーチすんだよ。そうすっと他の奴はプレッシャーになるだろ?」
 と話すと、常に淡々としている当麻の態度が、純には逆に相当の自信に見えて、
「振り込んじゃったらヤバい手のサイン…?」
 おずおずと秀に尋ねた。彼が「いい手」と言ったのだから、相当高い役ができていると想像してもおかしくない。無論当たれば大きい手の場合、待ちが悪くても早くリーチをかけることは多い。だが当麻の性格上、あまりそれは関係ないと秀は読んでいた。
「それはどうかわからんなぁ?」
「あれ、そうなの?」
 純がまた首を傾げると、再びナスティが解り易く説明した。
「安くないのは確かよ、親で一本場だから上がるとそれなりに付くし。でも役満なんてことはあまりないわ」
 すると珍しく遼もこう続けた。
「ゲームソフトだとあれだけど、普通にやってて役満なんて滅多にできないよな」
 そう、麻雀を始めた頃は、誰でも憶えたばかりの役満を作ろうとしがちだが、最初から決め込んで打つと滅多に勝てないものだ。遼もそんな経験をした上で鳴き麻雀に転化した。ゲームソフトは予め、ある手ができるようプログラミングされたものが多く、変に役満ができたりすることもあるが、それはゲームらしい演出と理解すべきだろう。そして、
「だから高い手って言うより、アガり易い手だと思うのよね〜」
 ナスティがそう話すと、当麻は些か渋い顔になって呟いた。
「分析してくれるなぁ…」
 その分析が概ね当たっているのだろう。恐らく彼は親を続ける為に、ここではあまり高くない手でも、とにかくあがって二本場に持ち込みたいのだと、ナスティには見抜かれたようだった。
 しかし思うように行くかどうかは判らない。八巡目には、
「よっし、俺もリーチ!」
 と、秀が勢い良く宣言して来た。まだまだ勝敗の行方は見えて来ない所で、純が今度は、
「先にリーチするのと、後にリーチするのと、どっちが有利ってことある?」
 との疑問を口にした。そこまでは何となく、空気を読まずに先にリーチするか、リーチせずに様子を見てあがるか、その二択のように感じられた純だったが、秀は決してそうではないと話した。
「どっちとも言えねぇよ、その時による。あんまり後が無い所でリーチすると無駄ってのはあるが」
 結局は状況を見ることに尽きると言う訳だ。簡単な例を挙げると、先にリーチした人の欲しそうな牌が、自分の手元と場に四枚見える状態なら、後からリーチする方が圧倒的に有利だろう。まあ今はその例には当て嵌まらないけれど。
 当て嵌まらないとしても、リーチをかけたからには、運悪く振り込むことも覚悟しなくてはならない。
「…嫌なの来たな…。当たるか…?」
 十四巡目、牌をツモった当麻の顔色が変わった。秀の捨て牌からはどう見ても、5以下の数牌が危険だと読み取れた。ひとつポンをしている遼には、既に二枚切られた牌は当たらないだろうが、秀は基本的にあがるのが巧い麻雀なので、どうしても当たりを放銃してしまう時がある。己のミスでない場合は仕方ない、当たっても安い方であることを祈るのみだった。
 意を決して当麻は2ソウを場に捨てる。すると無情にも秀は言った。
「ロン!、高い方に来たぜ!」
「ちっ…!。やっぱりか、失敗したなー」
 当麻の振り込みのお陰で一盃口も成立し、五役七翻の満貫になった。と思えば、
「リーチ、ピンフ、三色、イーペー…、裏ドラもあった!、跳ね満だーーーーー!!」
 本来のドラである7ワンは手牌に無かったが、裏の2ピンを一枚持っており六役八翻となった。だからリーチは積極的にかけた方がいい、と秀は思うのだ。
「マジかよ…!!」
「あらー、5ソウだったら満貫で済んだのに可哀想ねぇ」
 遼とナスティも、頭の9ピン二枚の他は全て234と言う、綺麗に揃った秀の和了を見ると、一種の感動や恐ろしさを憶えた。こうした奇跡的な事もしばしばあるので麻雀は面白い。そして、
「まだ東場だ、後で必ず巻き返してやる」
 渋々12000点、否、一本場なので更に300点支払い、リーチの点棒1000点も取られながら、当麻は増々意欲を燃やしていた。


 最後にやっと北家の秀に親が回り、ここは是非とも他を引き離したいと思う東四局。
「これで東場ラストか、なんとか一勝したいなぁ」
 ここまで一度もあがれていない遼も、ナスティも、最後に一勝したい意気込みは同じだったが、
「遼兄ちゃん一番負けてるよね?、勝たないと後に代わる人が可哀相だよ?」
「う〜ん…」
 純にそう言われてしまうと、牌を掻き混ぜる手に自然と力が篭った。まあ力や念を込めれば勝てるものでもないが、恐らく彼は今日一番真剣な顔をしていた。確かにこの体たらくを引き継がせるのは情けないと、大真面目に受け取ったのだろう。
 けれどそんな遼の真摯な思いなど知らず、
「じゃあジャンケンしよ?」
「ん?」
 ギャラリーの伸が、突然征士に拳を向けて嗾けた。
「勝った方が点の多い方と入れ替りだよ?」
 まだ彼等の間で、遼とナスティのどちらと入れ替わるか、話し合っていないようだった。どうせ一局だけの参加だから、ふたり共どちらでも良いと思っているが、もし、その方角にまるでツキが無い場合は、面白くない思いをしてストレスになる為、伸は公平にジャンケンを提案していた。
 しかし、ジャンケンの結果は判る人には判るだろう。こんな場合征士は大体格好を付けて、相手に譲るに決まっているのだ。全くその通りの、
「いやいい、高い方を伸に譲ってやろう」
「いいのぉ?、ありがとう♪」
 ふたりの会話を背中で聞くと、当麻は二番に下がった腹いせなのか、言ってもしょうがない事をわざわざ声にした。
「うぜぇなぁ、そのやり取り…」
「何だよ?、君はそっちに集中してろよ」
「今の負けで当麻は気が立っているのだ」
 そんな様子も既に何度も見て来た。実戦では滅多にそんな厭味は言わないが、彼は遊びの中で鬱憤を晴らすことが多いと。
 なので今更誰も気にすることなく、征士に至ってはまるきり流し、左に座る人の顔を左手で自分に向かせると、
「賭ける物は決まったか?」
「えぇ?、思い付かないよ、もう何も無いからね?」
「では王様ゲームでもしよう」
「えー、これ以上何がしたいんだよ〜」
 と、馬鹿馬鹿しい経過もありながら東四局は始まった。
 序盤は静かに落ち着いた流れで、誰もが黙々とツモっては捨て、ツモっては捨ての繰り返しだった。だがやはりここまで調子の良い秀が、八巡目で手牌を大きく動かし流れを変える。
「リーチ!」
「ホントにすごいや、秀兄ちゃんほとんどリーチしてるんだもんな」
 下手な内はテンパイにするのすら時間がかかるが、純には秀の理牌はまるで魔法のよう、否、それこそゲームソフトのように、どんどん揃って行くのが不思議でならなかった。果たして勉強と経験でそうなれるものか、彼にはまだ信じられないようだが、秀の上手さは正に経験に根付くものであり、純も希望を持って良い例だった。
 しかし次には、秀と同様に同じ言葉を繰り返しながら、なかなかあがれずにいる遼が居た。
「ポン!」
「またなの〜?」
「しょうがないだろ!、ナスティまで!」
 秀がリーチ表示に捨てた東を鳴くと、遼はまた役牌を晒したが、そこからいつもあがれないのも純には不思議だった。実はやり慣れている仲間には周知のことだが、遼は鳴いておきながらいつも高い手を狙うからそうなる。この時も彼はホンイツから小四喜、字一色辺りを目指しており、トイトイに甘んじている訳では決してないのだ。
 大役は嵌まれば確かに一発で稼げる。しかしあがれなくては意味がない。その中間で妥協することが麻雀の真骨頂だが、どうも遼はそれでは気持が乗らないようだ。否、あがり易いピンフを作ったところで、より巧い秀や当麻には勝てないと考えているらしい。
 するとその横で、
「私もリーチ」
 ナスティが九巡目のリーチを宣言した。これまであがれていないのは同じでも、彼女の方が役作りは巧そうだと、純にも何となく感じられる流れだった。やはりメンゼンでテンパイできる方が、麻雀に於いては巧いと評価されるんじゃないか、と感覚的に解ったようだ。
 そうしてふたりにリーチがかかると、途端に場の緊張度は増した。当麻がそれぞれのツモと河をよく見て安牌を捨てると、次にツモった秀は珍しく恐々とした声で言った。
「おっと…、ナスティ、これ通るか?」
「残ー念、ハズレでーす」
 彼女はそう明るく返したが、秀が振り込みを恐れるのには理由があった。偶然なのか故意なのか、ナスティの捨て牌はタンヤオ牌のみだったのだ。現状メンゼンチャンタの可能性があるので、彼が引いた1ピンは酷く危険を感じたが、その打牌の結果を見て当麻は、
「チャンタのようでチャンタじゃないかもな」
 と、二枚切られている西を眺めながら言った。彼は見ていたのだが、その二枚は手牌の中から続けて切ったものだ。使えるトイツを切るにはそれなりの意味があるだろう。
「どうしてそれがわかるのかなぁ?」
 再び純が尋ねるが、解説すると自分以外のメンバーに、有利な情報を与えてしまう為、
「そこは読みの勉強をしないとな」
 当麻はそれしか言わなかった。これがもし南一局ならもう少し余裕があっただろうが、一局の終わりを有終の美で飾りたい、あがれなくともせめて納得行く形で終わりたいと、誰もが思っているところだった。
 そして終わりの時はやって来た。
 十五巡目、秀が今度こそツモれと気合を入れて取った牌は、
「…んん?…、ヤバい、こりゃ当たりかも」
 卓を見回し、まだ場に一枚も出ていない2ワンだ。当麻の言う通りチャンタでないとしたら、一九牌に近いアンコを集めているのかも知れなかった。そして渋々捨てると案の定、
「はい、ロンでしたー!」
 ナスティの倒した手牌は、恐らく多く配牌された一九牌とトイツから、巧く発展させた三暗刻だった。大体読み通りだった当麻はそれを見て、あからさまに胸を撫で下ろしていた。
「ドラもあるのか、リーチかけなくて良かった」
「最後に満貫でーす!」
 遂にナスティが執念の一勝をもぎ取った。この勝負強さは彼女の向学心の賜物だろう。ただ秀は8000点払ってもまだ一番だったので、そこまで肩を落としてはいなかった。ここに至り最も落胆しているのは、改めて言うまでもないが遼だった。
「あーあ、遼兄ちゃんかなり残念…」
 純が彼の手牌を覗いてそう言ったのは、この時点でイーシャンテンには出来ていた為、もう少しで食いホンイツ、役牌2、ドラ1だったと、非常に悔いの残る結果だったからだ。
 けれど繰り返し言うが、あがれなければ何にもならない。勝ったり負けたりできるからこそゲームであり、負ける一方ではゲームは楽しくない。恐らく遼もまた暫くすると、少し考えを変えて来るのではないだろうか。

 そんな流れで東場は終了した。一局参加のふたりは、点数の多いナスティが伸に、最下位の遼が征士に代わり南入となる。



つづく





コメント)2016年4月に一時upし、すぐ下げて5月の新刊にした趣味の小説ですw
短時間で荒い文だっので、ノーマルオールキャラを征伸版にして再up、と予告していましたが、漸く再登場しました(≧∇≦)b
以前あった毛利月間チャットで、トルーパー五人の麻雀の打ち方を話した時、「半荘全てを書く」と自分で目標を掲げ、書き切っただけで満足な話ですw。各メンバーの傾向は大体その時に話したものです。
そして時期的に就職した純を書こうと思い、こんな構成の話になったけど、何故セカンドシリーズに入れたかは、大花月シリーズの「少年達の青写真」で、一度麻雀の話を書いた為、その遠い先の続きにするのがいいかと。



GO TO 「ハチイチヨンイチ 2」
BACK TO 先頭