バスの中
忘れない。
THE UNFORGETABLE



 眠りから綻ぶ花よ、枝には陽の賑わい、雨風の翳りも共にある。
 止まらない時間の、留められない季節の、愛おしさは残酷な雨の弾みの小気味良く。



「おいっ、征士、急げったら」
 今朝からずっと、伸は何をするにも慌てている様子だった。
「大丈夫だと言っている。まだ充分間に合う」
 帰りのバスの時間には二十分も余裕がある。
「でも雨降りそうだし、運良く一台前のに乗れるかも知れないだろ」
 言われてみれば、この時期特有のぼんやりとした晴れ間は幾分、くすんだ灰色に暮れかけている。
「電話でナスティを呼べばいい」
 どの道バスを降りれば、柳生邸までは十分程歩くのだから、その方が確実だと征士は訴える。
「それは最後の手段だよ!、取り敢えず今は走る!」
 頼まれて買い出しに来ているのだから、そこまで遠慮しなくても良いのではないか。
「はいはい…」
 けれど結局、愚直とも思える律儀で非合理的な指示に従っていた。

 バス通りの街路樹、大小あらゆる公園の樹木、小学校の門には見事な枝振りの桜、桜、桜。この国の人間はとかくこの花が好きだ。木としても日本的美観に合うものではあるし、開花時期は東洋の暦に象徴的な季節と重なる。
 春。はしかし、人に取っては微妙な時期でもある。舞い上がるか舞い落ちるかは、人それぞれに違う春の趣だ。そんな人間模様を何食わぬ顔で見ている、春を彩る桜は晴も褻もある風物。
 いつも、戦いが終わる時にはこの花を見た。
 一度はその満開の枝の元に、永遠に眠り続ける夢を見た。
 けれどこうして今、酷く現実的な冴えない空模様の下、普通の人々に紛れて、普通とは言えない心で同じ花を眺めている。浮世の平和が保たれた証として、人には通じ得ない感慨を以って、桜の綻ぶ季節の中に生きている。去年までの春とは明らかに違う自分達。特異な存在の孤独を感じればこそ、それは確かなことだと思えた。
 それなのに、未だ元の回転に戻れない自己の所在無さ。浮き足立つ春の雰囲気にも呑み込まれ、戦士ではない、一人の人間としてのこの身を何処へ置くべきか、迷っていた。あれ程切に願っていた筈の、普通に暮らしていた日常への回帰。否正しくは、命の危険を常に感じながら生きる、異常事態から抜け出すことを誰もが望んでいた。
 しかし征士は今、普通の生活にそこまでの執着を失いつつある自分に、気付いている。
 現実が色褪せる程の無上の喜びを、見付けてしまったからだ。
 それは誰が保証する幸福か。
「ほら!、一本前に乗れるじゃないか」
 先に停留所に着いた伸は、ガードレールに括られたバスの時刻表を指差し、声高に心情を表現していた。気の無さそうな足取りで後からやって来た、征士には大して関心の向かないことだった。どうせ二十分の内には必ずバスは来るのだ。
「そんなに天気が気になるか?、小雨くらいなら構わないだろう。春雨に濡れて歩くのも一興だ」
 確かにそんな光景を想像すれば、風流を感じなくはない。
『春雨か、では濡れて参ろう』
 などと言う芝居の文句を思い出させた。けれどこの場に於いて、江戸時代の男女の風流を持ち出されても困る。伸は即座にそれを却下した。
「あのさあ、僕らはそれでもいいけど、これはどーすんだよ?」
 両手一杯に抱えた食品や書籍の袋。中には湿気を嫌う物も少なくない。待っている皆の気持を考えるなら、無下に扱って良いとは到底思えない。
「…やはり車で来れば良かった」
 そんな時、征士はまず合理性を思うのだろうが、
「この辺で走るのはまずいだろ、無免許なんだから」
 伸の考えは大抵が反対だった。
 征士はつい最近まで、仙台の地元のカートクラブに所属していた。サムライトルーパーとして時間を費やす義務が生じた際に、仕方なく退会することになったけれど。
 カートレースと言えば、高速サーキットの中を微妙な目測と、絶妙なハンドル捌きで走り抜ける軽量のシャーシ。無論子供の腕ではそこまで上手い扱いはできないが、一般道でオートマ車を走らせるより高い技術は得ている筈だ。事実征士には当たり前にできていた。
「私の運転技術を疑っているのか?、そう言えば伸を乗せたことはないな」
「そうだね。でもちゃんと免許取るまで遠慮しとくよ」
 アハハハ。
 笑うことは、過去を懐かしむことだと、とある独裁者の言葉にあった。
 確かにそうだった、私達は懐かしい。ほんの数日前に終わったばかりの、過ぎてしまった目くるめく戦闘の記憶。その中の断片的な出来事、日々の日常的な風景の記録。何もかもが懐かしい、まだ完全に抜け出せていない過去が、既にこんなにも懐かしく感じている。懐かしく、追い縋って来る。だからそれ以前の世界になど、もう戻りたくないと感じるのだ。
 想い出と化したものは皆、春の陽の様に微笑んでいるからだ。

 そうしている内に、彼等の待つバスはやって来た。
 少し早めの買い物帰り客と学生のグループ、待っていたそれぞれの人に紛れて乗り込むと、それで丁度車内の席が埋まった。運転手側の席に座ったふたりの向かいでは、セーラー服の二人組が何やらひそひそ話を始める。その内容は、彼女等の態度から大方予想が付くものだった。
 ただでさえ普通に扱われないのだから、いっそのこと人間で無いものになりたい。などと征士が意味のない愚痴を巡らせていると、ゆったり走り始めた車体はロータリーを回って、その遠心力に振られて傾いた体が、座席の端に居た伸に大きく加重を与えた。
「わー、駄目駄目」
 途端に声を発した伸に、征士は慌てて身を起こす。見てみると、彼は大事そうにひとつの紙袋を抱えている。そして、
「ケーキケーキ、これ潰したら秀が暴れるよ」
 伸は苦笑いをして見せた。
「ああ…、ナスティが、今日はパーティだと張り切っていたが…」
 そのナスティに、伸と共に買い出しを頼まれた征士だが、実は疑問に思いつつ聞かなかったことがある。何故パーティが今夜に決まったかという理由だ。阿羅醐を倒したことを祝うなら、もう三日も経った今日では遅過ぎる気がした。伸の誕生日なら、本人に買い出しを頼みはしないだろう。
「伸は知っているのか?、今日のパーティとは何なのだ」
 至って平坦に尋ねた征士に、伸も当たり前の返事をした。
「お別れ会ってやつだよ」
「ん…?」
 征士には多少予想外だったようだが、伸も驚いたように止まってしまった。
「…気が早過ぎやしないか?。まだ春休みに入るか入らないかだろう」
『やっぱり気付いてない』
 伸は、征士が気付かない理由を知ってはいたが、わざわざ説明することになるとも予想しなかった。彼は頭の回転が遅い人間ではない。が、関心の方向が逸れている時には、稀にこんな事態にもなるようだ。
 三月中旬、会社員が花見に賑い始める頃は、学生達も宿題の無い休暇を前にして、様々な計画を立てている時期だろう。確かに新学期まではまだ充分な間があった。その準備を考えても、四月に入る頃に家に戻れば良さそうなものだ。
 但しそれは、ある意味恵まれた者の計算に過ぎない。
「君や当麻は心配がないのかも知れないけど…、遼と秀は事情がちょっと違うだろ?」
 その言葉に、彼が何故今日を慌ただしく過ごしていたかが、征士は漸く理解できたようだ。常に仲間達の様子を気に掛けている伸のこと、彼等ひとりひとりに取っての、大切な行事を忘れることはないのだろう。そしていつも計画的に準備をしているのだ、大切な時の為に。
「そう言えば、そうだったな」
 征士と当麻のふたりは、秋頃には進学先が決まっていた。まあ当麻に限って言えば、その手の心配には無縁な立場だろう。一方征士については正に剣道のお陰であって、別段希望した高校へ進学する訳でもないが、「考えなくて良い」という状況は確かに有り難いものだった。
 だから忘れていたのだ。
「ほら、まるで他人事だね。当麻には話したんだけどさ、聞かなかった?」
 ハハハ、と伸は笑った。しかし、
「…聞いていない」
 単なる仲間外れでは済まされない、との怒りが征士には芽生えていた。もし今こんな場面が無ければ、パーティの席上で恥をかくことになっただろう。よくよく人にからかわれることのある自分だが、こんな時に、伝えてくれないのは怠慢だと征士は感じる。
「それは良いが、この時期から受験できるのか?」
 改めて征士が尋ねたことも、他の仲間達は既に聞き知っている話だった。
「遼も秀もね、特別な計らいみたいだよ。要は補欠受験ってことだろうね。それで明日には帰らなきゃならないんだって」
「そうか…」
 伸の言う通り、ここに集う者が皆同じ条件である訳ではない。己の状況が余りに、幸福な様子で新しい時を迎えてしまった為に、気付けなかったのだと征士は感じる。
 鎧戦士である五人は皆同じ年で、同じような背格好で、同じひとつの目的を持って戦って来た仲間。それぞれが与えられた役割と責任を担うからこそ、仲間としての結束は揺るぎないものになった。それは勿論幻想でも理想だけのものでもない。しかし、
 ただ人として生きることと、社会に属して生きることは違う、と思い知らされるようだった。長く厳しい戦いの後で、皆がこの長閑で麗らかな日々に、心を休ませ漂わせていられると征士は思っていた。丁度去年の夏の合宿のように。
 無神経だったと、彼は申し訳なさそうに続けた。
「私としたことが無礼であった。…遼達も何も言わないのだな」
「アハハ、ハハハ…」
 けれど征士のそんな様子を見れば、それを払拭させるように、伸は明るい口調で返すしかない。
「ま、自分のことは自分でするしかないって、分かってるからだろ。騒いだって誰かが助けてくれる訳じゃないし」
「そうだが…」
 尤もだと納得する自分、そして反抗したい気持が渦巻いている自分をも、征士は知った。
 紛れもない正論と思えることが。
 何も変わらないようで変わったこと。正しさばかりが価値ではないと思えて来たこと。正義を考える度に、それの持つ別の側面を見てしまうこと。繰り返される戦いの日々の中から、彼等が悩みながら得た回答。
 幸福は誰から与えられるものだろうか。
「そう言えば、伸は一人だったな」
 征士はもう遠く感じる夏の日を思い出していた。



 いつもの停留所でバスを降りた時、薄紫の夕暮れに、まだ暫くは雨の心配はなさそうだと感じた。
「さぁっ、急いで帰ろ〜」
 それでも伸はまだ征士を急かし続けていた。大事な仲間達と共に居る時間を大切に思う、彼の控え目な主張は充分に解るが、
「おい、伸…」
 どうもちくはぐだと感じる征士は言った。
「そんなに急ぐなら、始めから車で行けば良かったではないか」
 その方が確実に時間は短縮された筈だった。けれど伸は振り向きざまに笑って言った。、
「それは駄目だよ、ナスティが居たら、君に内緒にしてることがばれやすいだろ?」
「な…、何なのだそれは」
 どうもおかしいと思えばやはりそんなことかと。伸ならば、残された短い時間をどれ程大事にしたいか解るだけに、無駄に時間を潰すのは理屈になっていないのだ。
 せかせかと前を歩く伸の背中に向けて、
「当麻とふたりして、何を企んでいるのか知らんがなぁ」
 と征士が愚痴を零すと、伸は変わらない調子で返した。
「もっと君と話したかったんだよ!、ほんとに」
「…つまらん」
 征士は黙り込んでしまった。
「そうやって話を切っちゃうからさ。僕の言葉、ちゃんと聞いてるの?」
 けれど、征士が真摯に怒りを感じる時の瞳の色を、伸は知っていたので。
『でも大丈夫だ、僕達は』
 柳生邸へと続く湖畔の道。これまで何度行き来したか知らない。季節に、時間に拠って顔を変えていくこの景色は、正に第二の故郷と言って差し支えない程、目に心に確と焼き付いているもの。艱難辛苦の道程も、痛みを癒す優しさも、全てをその懐に温めてくれる大切な場所。
 そして今日、今、この一瞬の僅かな感慨も、掛け替えのない思い出の中に差し込まれる、記憶のページのひとつになっていくのだろう。今は一抹の淋しさでしかないこの時が、切磋琢磨する命の煌めきを懐かしく、呼び起こす記憶となるのだろう。皆いつでもここに帰れることを、この道に辿り着けることを、後はただ信じていたかっただけだ。

 不安なのは何も、遼と秀に限ったことではない。

「当麻!!」
 暫しの外出から戻るなり、征士は只ならぬ剣幕で二階の部屋へと昇って行った。
 常にそうだったのだが、
 伸の話し方は大体が理論的でなく、筋道が判り辛いのが特徴と言えた。因って要領を得ない場合に征士は、当麻か秀に解釈を依頼することもしばしばあった。蔑む意味ではない、彼の意志を正確に捉えたかったからだ。全ては理想的な戦いの終幕の為に。
 しかしこれはそんな前向きなケースではない。
「どう言うことだ!」
 部屋のドアが開くと同時に、征士も口を開いた。静穏な部屋の空気が途端に掻き乱され、当麻にはやや不快な心象を齎す刺々しい波動。ベッドの端に、壁を背にして静かに読書していた彼だが、突然そう怒鳴られたとして、通常なら訝しく睨み返すところだ。
 けれど、
「…ククク…、そう来ると思ったよ」
 当麻は至って冷静に答えながら、ドア口の征士を見上げるように首を捻る。その妙に落ち着いた態度は、ひとりいきり立つ征士の立場を失わせていた。
「大方俺達にからかわれてると思ってるんだろ。それは違う。俺は気付いてほしかっただけだ」
「気付いて?…お前の差し金か?」
 意外だと感じる自分が居ることも、過去の記憶があってのことだった。
 当麻が他の者に気を回すようになったとしたら、それは飛躍的な変化だと素直に思える。集団に対するコミュニケーションを知らなかった、「あの当麻」がだ。それを思うと却って、自分は後退しているように感じてしまうではないか。
 けれどそれには理由があった。
「だってなぁ、俺は前から遼と秀の勉強をみてるんだぜ?。なのに、横にひとりで浮かれてる奴が居ると思うと、あいつらが不憫でたまらん」
 当のふたりから最も近くに居たと言って良い、彼の立場は最早、ふたりに取っての最大の協力者だった。そして今の当麻には、半年程前の逸れ者気質は殆ど感じられない。つまりはその行為が、自己とは全く種類の違う人間に対して、もうひとりの自分を投影できる程になったということだろう。大した進歩だと思えた。否それ以上かも知れない。
 当麻の成長に、驚かされてばかりでは仕方がないが。
「なら、一言言ってくれれば良いのだ」
 如何ともし難く態度を改めた上で、征士は穏やかに難癖を付けることしかできなかった。すると、当麻は彼から視線を外して、何やら困ったような仕種をして見せる。
「いや、俺には自信がなかったのさ。喧嘩になりそうなんでね」
 そんなことを言って自嘲するのだ。
「…俺は最近よく考えるんだ、五人の中では一見使える存在に見えるが、俺達は駄目だな。目に見える利害や損得でしか物を量れない。それが求められる特性だから仕方がないが、視野が違えば途端に物別れすることもある、不和の種でもあるのさ、俺達は。…恐らく俺と征士は今、全然違う所を見ていたと思うんだが…?。当たってるだろう?」
 当麻の正直な告白。
 当たっていると言うより、正に射抜かれたといった感覚だった。
「だから伸に頼んだんだよ、お前のことは」
 そしてそう締め括ると、別段見下げる訳でもなく、すっきりしたという表情を征士に向けていた。己を卑下する表現を好まないのがこのふたり、であった筈だが、つまりは「同じ穴の狢」だと当麻は自ら告げていた。
 その気持良い結論を拒絶する意味は、征士にも最早なかった。何故なら確かに違う現実を見ていたと認めるからだ。出会ったばかりの頃から、お互いの能力を対等と見て、常に何かに付け張り合いながら、己の価値を高めようとばかり考えていた。自分と当麻が似ていたのは確かだが、それは一致する価値観を持てる間のことだと、今は考えられた。
 戦いの極限状態の中で、それぞれに心の拠り所となるものに、足りない何かを頼りながら戦って来た事実。そんなことによくよく慣れてしまった後に、普通の生活との感覚のずれを修正できないでいる今。結束故の弊害と言えるかも知れない。自分も当麻も、存外偏った視野しか持ててはいないという認識。
 幸福は誰から与えられるものだろうか。
「大人になったな、当麻君?」
「お前に言われても嬉しくない」
 だが笑っていられるのは誰の為。
「そんなことより、もっとよく伸の話を聞けよ」
 当麻はぶっきらぼうに言った。
「一応先輩なんだから」



 征士が階下に戻ると、恐らく当麻には内密に支給されたおやつを、口一杯に頬張る秀が半ば咽を詰まらせながら、明から様に胸を撫で下ろす様子が見られた。現れたのが当麻でなくて良かった、と征士には満面の笑顔を向けている。
 神経を遣うのは周囲の人間ばかりで、本人に至っては、これだけ力の抜けた奴も珍しいと征士は感心する。同じ立場である遼の姿は見えないが、その辺りは対照的なふたりだと思えた。遼は誰もが認める徳を持った男だが、秀の存在は、悩んでも馬鹿馬鹿しいと感じさせることだ。
 だから彼はここに居る。
「言っただろ秀ー?、隠れて食べるのは良くないよー」
 そこへ、キッチンから顔を出した伸が声を掛けると、
「だってよっ…!、あいつが来ると、俺の分がめちゃめちゃ減るんだぜっ!、隠れて食わなくってどーするよっ」
 やや咳き込みながらも、秀は悪気もなくそう返した。そして征士はぽつりと、
「師の心弟子知らず」
 と言った。
「あぁ?」
「クックックッ…」
 そしていつも笑っている伸のことも、この期に及んでもう少し理解できた気がした。
「まあ、私も同じようなものだが」
 何を言っているのか判らない、秀は困ったようにふたりの顔を見比べるばかりだった。



 幸福は何処からやって来る。
 年は殆ど違わない、けれど伸はあらゆることに於いて、他の四人より一年早く新しい経験をする。そしてその度に彼は言った。
『別に、何でもないよ』と。
 言葉通りなのかは判らない。けれどそれだけのことで、皆が未来に対して安心することを伸は知っていた。征士にしても、何処かに安心感を植え付けられていた筈だ。
『大丈夫だよ、僕達は』と。
 その始まりはいつだったのだろうと、思い出せるからだ。これまでの歩みはいつでも振り返ることができる、全てが欠くことのできない大切な記憶の中から。

 いつも一歩先を歩いていた彼のことを、忘れない。

 日中心配された雨は、宴の後の夜更けから降り始めた。これから五分咲きになろうという桜の花が、これで幾らか散ってしまうことになりそうだ。
 春の死は儚く無念。
 だがそれも一時だけの感傷だと言い切れるだけの、過去が在った。









コメント/02.11改校。
序盤は以前の「水上歩行術」と同じなので、あれ?と思ったことでしょうね〜(笑)。でもこれが本来の形だったのです〜。そう、この時点で受験生なのは伸以外の四人の方でした。間違えた理由は「水上〜」の方のコメントを読んでください。
間違いに気付いたきっかけというのが、「天空伝の要素を入れた話があった筈なのに…?」という事だったのです(笑)。なのでちょっと当麻にスポットが当たってますね。征伸だけじゃなく周辺にも色々変化があるという訳です。それにしても、こんな間違いをして思った事は、「意外とどうにでも解釈できるもんだな」とか(笑)。



BACK TO 先頭