燃え盛る中
歌 垣
#4
Feast the Encounter



 歌垣の夜から三月が過ぎ、集落の叢には虫の鳴く声が時折聞こえるようになった。夏場は休み休み行っていた農作業も、ここに来て皆、待望の収穫期へ向けて忙しなく動き始めた。この地方の夏は暑いが短い、そして冬は寒く長い。少しずつ長い冬ごもりの支度を始める姿も、もう感じられるようになったこの九月。
 夏の陽がじりじりと照らす灼熱の時を越え、もうあの初夏の熱狂が懐かしい。夏は全ての生とし生けるものの、命を燃やし舞い踊る恋の季節。時期としてもうそんな期間は過ぎてしまったのだな、と思うと些か淋しい秋の始まりだ。
 だが肌身に感じる空気の切なさとは別に、セイジには少しずつ落ち着いた情愛の深まりが、心に育って行くのを感じられていた。衝動的な、或いは幻想的な出会いから生まれた恋が、今は何にも替え難い大切な想いとなった。あれから数度氏上館を訪ね、その度に様々なこと、他愛のないことも話して来たが、会う度に若長の優し気な面影が強く、濃く胸に刻み込まれて行った。彼を想うことが即ち生活の意欲にもなっていた。
 そしてシンもまた、そんなセイジに徐々に心を開いて行った。燃え盛る気持はなくとも、受ける風に波立つ心を寄せながら、彼もまた日々の暮らしを幸福に過ごせていた。これまで誰にも触れられたことのない、恋の孤独は彼の中に淡い影を成していたが、今はそれが形を潜めた。セイジの希望に燃えた明るい表情を見る度、シンの心の奥底までが、きらきらと反射して輝くようだった。
 真に恋しい人とはこう言うものか、真の恋愛とはこう言うものか、とふたりは知った。
 この恋が、最終的にどうなるかは判らない。身分や立場の違いは変わらず、彼等の間に横たわる壁だった。だが今はまだ若い、ふたり共若さを謳歌できる時代だ。あまり先のことは考えず、今は今の恋心を楽しんでいても良い時かも知れない。まだ知り合ってたった三ヶ月、現状の仕組みはそう早くは変えられないものだ。いつか、セイジがより立場を上げるか、シンが氏上主を降りるかして、より近付けることを今は祈るばかりだった。

 そしてこの日も、シンは穏やかな充足感の中、日々のお務めである神事へと向かう。同じ朝でもあの夜より昔と今とでは、その清々しさが違って感じられた。青葉が紅葉へと移り変わって行く途中の、何とも言えぬ微妙な緑の葉の隙間に、透ける朝の光がいつともなく美しく見えた。肌に触れる風はまだ夏の名残りの南風だが、それが少しずつ変化して行く明日を楽しみにも思う。
 明日、この先の未来にも必ずあなたは居る。そう思えるだけで酷く気持が華やいだ。
 神の御前に向かう前に、人としての些末な思いを巡らせるのは良くないかも知れない。けれど恋とは打ち消そうとしても次々、その記憶や感情が溢れ上がって来るものだ。忘れていようとしても、なかなか意識から離れてくれないものだ。人の行いを見ることが好きな、歌垣の山の神なら、こんな己のことも解ってくれるのではないかと、シンは口許だけでクスと笑う。
 こんな情けなさ、神の境地にはとても達せない姿こそ人間らしさだ。神に仕える身だからこそ解る人の至らなさ、足りなさが、恋であり愛となって、誰かを求める心になるのだから仕方がないと。
 彼がそんな思いを抱えながら館の庭に出ると、そこにはいつも通り神官のリョウとカユラの兄妹が、地に膝を着いて待っていた。これからふたりと共に、館の三つの社を回り祈祷を行い、最も大切な北の社の神事を終えたら昼の休憩と言う、今日も変わらぬ予定をこなして行くこととなる。
「氏上主様、今朝は良き天気に恵まれました。充分な神事が行えますな」
「そうですね、夏の盛りが過ぎて、今はとてもいい時期です。心してかかりましょう」
 シンはリョウとそう挨拶を交わすと、ふたりの間を通り抜け、神事を行う集団の先頭を切って歩き出した。歩き出すと先程まで感じていた以上に、初秋の空気は穏やかで爽やかだった。ひとつ深く息を吸い込むと、体の全てにその清涼感が巡って行くような、爽快な感覚が気管を通り抜けた。なのでシンはゆっくり幾度も、深呼吸しながら北の社へと向かっていた。
 ところが、そんな外界の涼やかな様子は一変する。否、シンの中で何かが起こった。幾度目かの深呼吸をしたその時に、彼は何かが奥から押し上げて来る悪寒を感じた。そして思わずその場に蹲ってしまった。
 突然のことに、後ろに着いていたカユラが駆け寄り、
「氏上主様?」
 とその様子を窺う。しかしシンは、先程までの落ち着いた様子から一変し、今は真っ青な顔で小刻みに震えていた。眉間に皺を寄せ、何かを堪えているようでもあった。返事も出来ぬ様子で、みるみるその指先が冷たくなって行くのを知ると、
「兄者、シン様が…」
 カユラもまた青褪めながら振り返り兄を呼んだ。何が起こったのか判らぬが、とにかく事態は急変していた。リョウはシンの肩に触れ、
「シン様!、シン様?」
 幾度か呼び掛けるが応答しない。しないだけならまだしも、シンはそのまま砂利の上に両膝を着き、本人も解らぬまま何かを吐瀉していた。その苦し気に嗚咽を漏らす光景を見ると、元々御身に異常のある氏上主の健康を思い、リョウはすぐさま立ち上がった。
「誰か!、すぐに薬師を呼んでくれ!。長が御病気の様子だ!」
 この日の朝の神事は、シンを除いた神官と巫女のふたりで行うしかなくなった。

 思わぬ事態に落ち着きを欠いたその日は、シンの居ない朝の神事は早々に切り上げ、心配そうにリョウとカユラが氏上主の居室を見舞った。そこには既にナステイを始め数人の女官と、薬師のナアザが居り、床に着いたシンの周囲を囲んでいた。
「ナアザ殿をお連れしました。触診をしていただきましたが、」
「どうされたのか判ったか?」
 ナステイの説明にリョウは、急いてそう問い掛けるが、まだ彼の望む返事は聞かれなかった。
「いえそれが、今朝の御様子を聞きたいと言うのです」
 どうもまだ、何処が悪いとはっきり言えぬらしいと理解すると、やきもきしながらリョウはナアザを見る。すると彼もまた、事をはっきりさせたい様子で尋ねて来た。
「リョウ様、今朝起きてからシン様はどうだったのか、経過を話して下さらんか」
 医師と言う者が存在しない時代、病は薬師か祈祷師が治療するものだが、どちらの範疇で行うべき状態なのか、ナアザもまだ判断を迷っている。彼の助けになるよう、そして何より長が健康を取り戻して下さるよう、リョウは必死に今朝の様子を思い出す。
「今朝、お館の外に出て来た時は変わらない様子だった。その後、庭を歩いている時急に蹲ってしまい…」
 だが彼が知っているのはその程度で、大した助けにもならぬような内容が、自分で悔しく思うほどだった。ところがそこで、
「いえ兄者、今朝は少しお顔の色が白く感じました。お食事も進まぬ様子で、あまりお食べになりませんでした。表には出さなくとも、何処か具合が悪かったのかも知れません」
 カユラが自身の観察をそう話すと、今度はナアザも幾度か頷き、何らかの思い当たる症例を考えながら話を続ける。
「だが酷く苦しまれてるとか、痛みを感じているようではなかったと」
「はい、それは。そんなに無理をされているようには見えませんでした」
 そしてそこまでを聞くと、ナアザは今一度と言うように掛け布団を捲り、
「失礼…」
 と、もう一度シンの状態を確かめ始めた。本人には意識があり、特に命に別状はないようだったが、変わらず悪寒を感じるのか、額から薄く汗が浮いていた。少しずつ嘔吐も続いているようだった。その手を取って脈を見、胸部や腹部を指圧のように押して様子を確かめる。その程度のことで判ることは、ある程度に限られるかも知れないが、この時代ではこれが限界なのだ。そして、
「如何でしょう?、何か悪い病ではありますまいか?」
 触診を終えたナアザにナステイが尋ねると、何故か彼は余計難しい顔をしてしまった。
「…いや…」
「あの何か、話し難い事でもございますか?」
 相手の様子を見るに、これは大事なのかも知れぬと、集う面々には俄な動揺が走る。何か恐ろしい病や、魔物憑きであると言われたら、国を挙げての大祈祷に入らなければならない。国の長とはただ指導者と言うのではなく、国自体の象徴なのだ。それが重い病とあっては行く末が危うくなる。仮にも神と讃えられた前長カオスのひとり息子なのだから。
 どうにかしなくてはならない、と、リョウはまだ答を聞く前から拳を握り締めていた。カユラもナステイも他の女官達も、シンが更に可哀想な立場になられたと悲しげに見詰めている。そしてナアザは、その様々な意識が澱む部屋の静寂を破り、今ひとつ歯切れの悪い調子でこう話した。
「大変お話しし難いことではあるが…。長はどうも、身籠っておいでのようだ」
 元より静かだった部屋が、一瞬凍り付いたような無音になった、ような気がした。
「えっ…?」
 驚きを表す声は本来、聞いた傍から思わず口に昇って来るものだが、その声は数秒の後に漸くナステイの口から聞こえた。皆事態を飲み込めていないのだ。ただ、氏上の直系が潰えてしまう最悪の事ではないと、暫くしの後リョウが気付いて息を吐く。だがそれでも、
「そんな、まさか…」
 とても信じられないと、今はそれだけのことを口にするだけだった。何しろ彼に取っては、日々隣の部屋で暮らすシンは、あくまで国長と言うひとりの男だ。確かに性格的にはとても優しく、繊細な面も持ち合わせている。体に異常があることも知っていたが、それがこんな事とは想像もしなかった。何故なら外見は別段女のようには見えないからだ。そのことをナアザはこうも話した。
「シン様はお生まれになった時、男女のどちらとも判別し難かった。一応見た目の特徴から男としてお育ちになったが、そうした者は子を生す機能自体が無いことが多い。誰もがそれを心配して来られたが、結局シン様は体の内側は女だったのかも知れぬ。私めもこれに関しては、正常でないと言うことしか判断できませぬ故、これ以上のことは何とも」
「・・・・・・・・」
 ナアザの話は自身の経験や、人伝に聞く経験談のような知識だが、そう多くは起こらないことなので、まだ納得し切れない者が多かった。否、人の行き来が進む時代になる程、このような異常は起こり難くなるが、人の数が少なく、一地域に密集している社会では、近親婚の弊害としてしばしば起こることでもあった。つまり薬師としては割合耳にする症例だったのだが。
 その他の者の中では、知識人であるナステイだけは、少しばかりその概要を飲み込めて来たようだった。但し、例えシンが異常だとしても、子を孕んだとなれば相手が居る筈だ。殆どお館から出ないシンが何故、或いはこの館の中に、そんな恐れ多い行動に出る者が居るだろうかと、やはり頭を悩ませるばかりだった。結局誰もが閉口するだけで考えが進まない。
 するとそこでカユラが、
「では神のお子を身籠られたのでしょう、きっとそうです」
 と、一種異様なことを言った。異様なことではあるが、寧ろその方が女官達には受け入れ易い話でもあった。無論シンが男と通じているとも思えなかったし、父親のカオスが神ならば、シンにもその神としての力があって当然だと、意外に納得できる面があったからだ。
 するとリョウもその話に乗り、
「そうだ…、シン様はこの館から殆ど出られぬ。カユラの言う通りやも」
 無理矢理納得しようとそう続けた。とにかく何処かに考えの落ち着く所がほしかったのだろう。
 そのような会話を、ナアザがどう聞いていたかは判らない。彼は身分の低い部民の立場、聞かれないことを答える筈もなかった。まして反論など、この只ならぬ空気の中では遠慮せざるを得ない。だが勿論彼の考えは、ナステイと同じく知らぬ間に誰かと通じていた、としか言えない事実があることだ。それを彼は喉の奥に隠しながら、この場を退散して行った。果たしてこの後国の会議では、如何なる処置が下されるだろうと案じながら。
 それがシン様とこの国の、幸となるか不幸となるか、何か恐ろしい予感さえした。

 ともすればそれは本当に神の子かも知れぬ。或いは魔物の子かも知れぬ。
 この後しばらくは国が揺れることになりそうだ…。



 それから数日後のことだった。
 山鹿の国の集落は今、あちらこちらで嬉しい知らせが聞かれている。そう、歌垣の晩に生まれた新しい命が次々、女達にその兆候を齎しているのだ。故にナアザはこの時期大忙しだった。中には具合が悪く寝込む者、既に状態が悪く流れてしまう者、初めての出産に臨む若過ぎる妊婦などの面倒を、広く見て回らなければならないからだ。
 それでも秋の収穫祭を前にしたこの時期、国の実りの豊かさを感じられる意味では、この忙しさは喜ばしいことだった。人も植物も同じ、全てが健やかに丈夫に育つとは限らない。芽吹いても病気や虫食いなどで、実る前に枯れる作物もある。だからより多くの種を撒き、多くを育てて行かなければならない。それが国の為だと自然に考えられるこの時期は、とても充実した季節だと言えた。
 ただ今年は、単に喜んでばかりも居られない。長がこれからどうなるかあまりに気掛かりだった。まだ大臣達は、長の現状への対処について、特にどうするとは公表していないが、急遽氏上主をお従兄弟に譲る準備を始めたかも知れない。或いは長が出産するまで待ち、その子が男なら、早々にその子を次代の長とするかも知れない。どの道この国が変わる切っ掛けとなってしまうことを、ナアザは危ぶんでいた。
 国が揺れれば民人も揺れる。そしてその周辺国の情勢もまた揺れるからだ。
 とそこで、彼はひとつ不思議なことに気付く。集落の女達は歌垣を境に子を産むことが多いが、シン様は何故それら部民の女達と同調しているのだろうと。国長が歌垣の祭に参加することはない。だがほぼ同じ頃に孕んだようではないか…。
 するとそこで、カユラの言った言葉が思い返された。歌垣の山の神が、彼に聖なる命を与えたのやも知れぬと。山の神は女神だと言う、生まれながらお労しい存在であるシン様に、神は最上とも言える慈悲を与えてくれたのか。薬師としてはあまり信じたくはない話だが、それでこの国が磐石となるなら、全てが丸く収まるのであれば、それもいいだろうとナアザは考えた。
 ともかくこの世は、人の数が国の力の源となっている。土地を守る為に人を増やさなければ、氏人だの部民だの言ってもいられない。カオス亡き後、他国を奪う戦は行わなくなった。この後穏やかに国を存続させるには、それしかないのだと思う。
 そんな考えに耽っていたナアザが、シンの母親であるスズナギの館を訪れた時だった。館の端から火の手が上がっているのを見付け、彼は何事かと慌ててその入口に飛び込んだ。
「どうされたのだ、これは!」
 建物の内部は既に煙で充満し、奥から世話役の奴の女が、大事な物を運び出そうと必死に走っていた。彼女はナアザの姿を見付けると、安心したようにその場に座り込んで言った。
「大変です、スズナギ様が御乱心に…」
「何があったと言うんだ?」
「お屋敷の奥の間に火を着け、薪を持ったまま、まだそこら中に火を着けて回っています…!」
「何と言うこと…!?」
 元より気の触れ掛かっている人物のこと、何を起こしてもおかしくない状態だったが、まさかこんな恐ろしい行動に出るとは、と、ナアザの表情がみるみる強張って行った。今は国に取って最も喜び多き時。そんな時に集落を焼き尽くすような大火災が起こってはたまらない。忙しかったとは言え己の管理不足だと、強い自責の念が込み上げて来た。
 しかし、そんな暴走をするには何か切っ掛けがあっただろう。余程ご機嫌を損ねるような事があった筈だと、ナアザは奴の女に再び尋ねる。
「スズナギ様は何をされていたのだ!?、今朝は何でもなかったではないか!」
 すると女は、自身の見た光景に自ら怯えるように、震える声で彼に事のあらましを話した。
「それが、氏上館に出掛けた奴のひとりが、長が身籠られたと話を聞いて来て…」
「!!」
「それを聞き付けたスズナギ様が、鬼のような形相で外へ飛び出して来たのです。煮炊きの為に焼べてあった薪を持つと、そのまま周りに火の粉を散らして暴れ出したんです…」
 聞いてしまえば、スズナギ様の屈折した感情は解るとナアザは感じた。前長を恨み、この国を恨み、苦悩の中で産んだ子供には異常があり、何もかも思うようにならぬ人生を送られて来た人だ。恐らくそのシン様の運命と共に、この国が滅ぶことを望んでいたに違いない。ところがシン様は彼女の思うような、滅びの象徴などではなかったと知り、溜め込まれて来た恨みと憎しみの力が、一気に吹き出したのだろうと感じた。
 シン様と言う破滅への望みが断たれ、ならばいっそこの手で業火と共に、全てを葬ってしまおうと考えたに違いない。
 もしかしたらシン様を殺したいのかも知れぬ。それが何より手っ取り早く望みを成就させる方法だ。そう考え付くとナアザには、自然にスズナギの辿る足取りが掴める。館の外に出て見るとその通り、氏上館へと続く道の家々、叢などが既に連なって炎を上げていた。最早己も氏上館へは向かえぬかも知れぬと、彼はこの惨事が最悪に至らぬよう祈りつつ、奴達にできる限り遠くへ逃げるよう伝えた。
 秋の乾燥した空気の中、枯れ始めた草木はよく燃えた。木造の家々や茅葺き屋根もよく燃えていた。ナアザはその間の道を只管走り、集落の中心地へと事を知らせに行った。集落が燃え尽きてしまう前に、否、ひとりでも多くを生かす為にだ。

 その頃氏上館の庭では、新たに何処かで拾った松明を掲げ、スズナギが楽しく舞い踊るように炎を散らしていた。
「ホーホホホホホッ、ハーハハハハハッ」
「スズナギ様!、どうかお心をお静め下さい!」
 まだ敷地に残っている老神官が必死に声を掛けるも、既に諌める言葉も慰めの文句も、彼女の耳には入らないようだった。ただ気の趣くままに館のあちらこちらに火を掛け、この国の歴史を無きものにしてしまおうと笑うばかりだ。
「ホッホホホ…、この国は滅びる!」
 最早正気ではないと誰もが判っていたが、それだけに恐ろしくて近付くこともできない。彼女が館の裏門を潜った時には、シンを始め女官達も、働く奴達も皆逃げ出していたが、神官と巫女だけはまだそこに残っており、何とか大事なお社を守ろうとしていた。けれどスズナギは、お社などには特に見向きもせず、人の住む居室を中心に火を放って行く。既に大きな館の三分の一から炎が上がっていた。
 当然本人も熱いだろう。しかしそんなことは微塵も感じさせない様子で、彼女は生き生きと力強く、また何十年も見せなかった笑顔をたたえていた。そしてひらりと庭へ降りると、正に全身から憎しみを放つように叫んでいた。
「あの不具の子が身籠った!、あれは悪霊の子だぞよ、この国に悪運を齎す悪霊の子であるぞ…!」
「スズナギ様!」
 そのあまりの言葉に、思わずカユラも泣き叫ぶ。これが母親の気持だとは悲し過ぎた。だが無論そんな悲痛な声も、今のスズナキには虫の音ほどにしか聞こえない。彼女はそのまま正門へと走り出すと、
「燃えてしまえ!、皆燃えてしまえーーー!」
 松明を手にしたまま、広がる集落へと出て行ってしまった。氏上館の騒動に騒いでいた群集は、いきなり門に現れたスズナギの様子を見て仰天し、その恐ろしさに散り散りになって逃げ出して行く。その中には、奴の男におぶさったシンも紛れており、女官達はナステイの指示で更に遠くへ逃げることとなった。彼女達はまだ知らないが、スズナギは彼を探している。シンが立ち寄りそうな場所へは、絶対に向かってはいけないところだった。
 火の手は、次々に集落の民家にも広がって行った。

 逃げ惑う民人は、前長の細君であるスズナギには恐れ多くて、ただ彼女の行いを眺めているしかなかった。これが一般の氏人のひとりなら、大勢で取り押さえるか、足などを狙って弓を弾くこともできただろう。けれど実際、触れるどころか直接会うことも許されない、神格化された存在を前にし、人々は何もできず逃げるばかりだった。天変地異と同じく、神の御乱心に人は抵抗できないと考えるからだ。
 何の抵抗もできず、目の前で燃え盛る家を眺めているしかない、彼等の心境が如何なるものかと思うと、あまりにも不憫だった。それがこの国への大きな不満とならなければいいのだが、とシュテンは人々を避難させながら考えていた。例えこの火事が収まろうとも、スズナギ様が居られる限り災いの火種は残る。だからと言って誰が、彼女を手に掛けることができようかと悩んだ。
「スズナギ様の存在は、この国を蝕む病だな…」
 とシュテンが呟くと、彼の部下は、
「この様子では死しても尚、未来に怨念を残してしまいそうだ」
 心配そうにシュテンに同意した。氏人であるふたりの見解はそんなところだったが、彼女の悲しみがこの事態を招いたことは、唯一カオスの失敗だったと今は誰もが判っている。そう、カオス本人が居られた時代はまだ良かったが、今となっては誰もその暴走を止められなかった。
 神と崇められた前長にも、失敗はあるものだ。天竺の神々の逸話も、良い話ばかりではないことを思うと、例え神と言えど人と同じように、取り巻く世界の大きなうねりには逆らえないものなのだろう、と思わざるを得ない。つまり今起きている事に、我々が抵抗できなくても仕方がない。起こるべくして起こった自然の流れなのだと、シュテンは苦々しく炎を見詰めていた。
 その時、氏上館の方から逃げ来る民人の一団に紛れ、
「シュテン様!」
 ナステイがその人の姿を見付けて叫んだ。行く宛なく彷徨っていた、氏上館の奉行人達は皆、顔見知りである武官のシュテンに会うと、一様に少し安心してその足を止めた。そして、
「皆無事だったのか!、シン様は!?」
 シュテンが真っ先にそう尋ねると、ナステイは自身の後ろにぴたりと着いて来た、体格の良い奴の男を見せて話した。
「ここに…」
「ああ…、良かった…」
 シンは、この日は特別体調が悪い訳ではなかったが、大事を取ってずっと奴に背負われていた。正統な後継者、優れた氏上の血が存続することは、広く未来に有益なことでもある。それがこんな事で失われてしまう悪夢は、何としても避けたかった。それ故この集団はシンに悪影響がないよう、大事に彼を守ってここまで来たのだが、丁度その時もうひとり、
「ナステイ!、シュテン!」
「あ、あなたはセイジ様」
 氏上館の方から全速力で駆けて来た、長のご友人である人物もまた合流した。
 付近の山間部の見回りに出ていた彼が、この騒動を知ったのはかなり時が経ってからだった。慌てて氏上館へ向かったものの、既に様々な人の入り混じる大混乱の場で、遂に大事な人を探し出せなかった。けれどその後、出会った部民から女官の一団がこちらへ向かったと聞き、足取りを辿って漸く追い付いたところだ。見付けられたと言うだけ彼にも、何らかの運があったのだろう。
 セイジは激しく息を荒げながらも、とにかくシンが無事で居ることを確認しようと、女官達の真ん中に突っ込んでいた。そして今は地面に降ろされた彼を見ると、思わず、表情を作るより、体裁を考えるより先に手が出て、勢いののままシンを抱き締めてしまった。驚いた周囲の者達が皆、思わず一歩後ろに下がってしまうほど、それは末恐ろしい行為でもあった。例え友人として認められた者であったとしてもだ。
 けれどそんなこと、当のふたりの意識からは忘れられているようで、
「…ああ、伊達のセイジ殿…」
 セイジの袍の袖に包まれたシンが、何処か嬉しそうな口調でそう返すのを、誰もが不思議に見詰めるばかりだった。無論シン様はお優しい方だから、礼儀知らずを強く諌めたりはしないだろう。だが今はそんな場面にも見えない。素直に再会を喜ぶ者同士が、互いを慈しみ合っているようだと受け取れた。
 彼等はそれ程親密な間柄だったのか?。
 と、目の前の出来事に最も驚いたのはシュテンだった。それは当然女官達のように、氏上館でのふたりの交流を見る機会がない立場だからだ。友人として訪れている事実は知っていたものの、ここまで親しげになっていたとは知らなかった。否、それは女官達も知らぬことだったが。
 そう、ふたりは形式的に離れて立って居たが、既に心は通じていたのだろう。あの歌垣の夜から、あなたは誰よりも愛しい人となったと。そして障壁となるものが無い場所では、自然にこうして睦まじく寄り添う。今はその幸福に浸っている場合ではないが、あの夜以降漸く触れ合えた大事な時だった。
 時。こんな時でなければ結ばれないのは、ふたりの悲しいさだめでもあったが。
 しかしそこに、更にもうひとりの男が息せき切って到着する。
「ナアザ殿!」
 丁度その方を向いていたナステイが見付けると、彼はもう疲労困憊の様子だったが、長に取って大事な事を伝えなければと、必死にここまで辿り着いた。倒れそうな彼にシュテンが手を差し伸べると、その手を取るや否や、彼は怒鳴るようにこう告げた。
「は、早く、シン様を何処か余所の国にでもお連れしろ!」
 その唐突な提案には、誰もが一瞬息を飲み黙ってしまう。国長を余所の国に逃がすなど一大事だ。このスズナギ様の行為は国家的な陰謀なのか?、と、シュテンが首を傾げながら問うと、ナアザはそこで、もうどうしても隠しておけぬ事実を彼等に話した。
「スズナギ様はシン様を生かしてはおかん。この国が滅びてほしいと願うのに、シン様がお子を宿していると知ったからなのだ、これは…」
「そんな…!」
 それを聞くと当然、女官達からは悲痛な声が上がる。立場はどうあれ、身籠った者は大事に守らねばならぬ存在、国の為に人を増やすのは大切なことだ。それを殺そうなどとあまりに身勝手ではないか。仮にもスズナギ様はお母上だと言うのに、と、女達の心には重苦しい空気が漂い始める。
 けれどシュテンとセイジは、それとは別のことに衝撃を受けていた。
「子を宿している…?」
 まだ氏上一族と上級の氏人、館で働く者しか知らぬ事だった故、何故、氏上主として立った男が身籠っているのか、シュテンには皆目判らず目を白黒させるばかりだった。だが勿論セイジの反応は違う、何故なら友人のトウマに話を聞いたからだ。アルダナリ神は男でも女でもあり、その時によって使い分けができるのではないかと。きっとあの夜に実を結んだのではないかと、セイジには怒濤のように感動が押し寄せていた。
 歌垣は恋の祭、山の神が子を齎す男女の出会いの祭。確かに己はそれに触れることができた、神の力を感じることができたと、集落の真ん中で大手を振って喜びたい気分だった。強い憧れが現実になるとこんなにも、晴れ晴れと心の空く思いになるものか…
 しかし今は、個人の喜びを謳歌している時ではない。シンはこの国に存在する以上、国を代表する氏上一族の立場から離れられない。勿論だからこそスズナギの標的にもなる。国家転覆を狙う者は必ずシンを狙ってくる。その図式を今だけは、否、できるなら永遠に躱さなければならなかった。
 もうこの国での官位や、国長としての地位は捨てることになるだろう。これまでのような安楽な暮らしはできぬやも知れぬ。生まれ育った国を離れるのはそれだけでも淋しい。親しい友人や家族とも、もうこれ切り会えぬと思うと悲しい。それでもセイジは、ナアザの提案を飲み込むとこう言った。
「私が…、責任を持って安全な場所までお連れしよう」
 そしてその腕の中で、シンもまた安心したように頷いていた。例え困難が待ち受けていようと、同じ思いで居る相手が傍に居ることが、何より幸福に思えたのだろう。

 その後、炎の勢いは増々強まるばかりで、民家から氏人方の館まで、選り好みなく火の手が上がっていた。この火事は予想より大惨事となりそうだ、と、シュテンが女官達を庇いながら移動していると、彼の顔見知りの武官が、大慌てでこちらに走り込んで来るのが見えた。
「大変だーーー!」
 と、その必死の叫びに反応し、
「何事だ!?、誰か人死にが出たか?」
 シュテンが声を掛けると、その武官は思いも拠らぬ事態を告げて来た。
「川の対岸から大軍が押し寄せて来る!。この大火事を見て隣国が攻め入って来た!」
「何だと!?」
 それは正に危惧していた事態、常に見張りを行いながら守って来たこの国の、存亡に関わる大事件だった。この国は先代の長までの間、隣国と戦を繰り返し鬩ぎ合って来た国。こちらが隙を見せれば相手は当然攻め込んで来る。まさかそれが、スズナギ様ひとりの御乱心を切っ掛けに始まるとは、予想もしなかっただけに誰もが呆然となった。
 この国は神と崇められる氏上一族の、正に神憑かり的な英知に拠り成り立った国。それはひとりの女の恨み言などで、簡単に倒れるものではないと信じたい。けれど現状は最悪の時機、自国がこんなに混乱した中で、敵とまともに相対することができるだろうか…
 国を恨み続けるスズナギ様さえ居なければ、スズナギ様がシン様の御様子を知らなければ、そもそもシン様が身籠ったりしなければ…?
 ただ、そんなことを考えても今は後の祭だ。急転直下の現実を傍観している場合ではない。武官であるシュテンは、隊を纏めてどうにか防戦しなければと、女官達を薬師のナアザに託して行ってしまった。勝ち目があるのかどうか判らない前線へと、とにかく先鋒を切って出て行くのが武官の務めだ。
「例え攻め込まれても、女子供には手を掛けぬ。安全に逃げ切れよ!」
 彼はそう言い残し、部下の連れて来た馬で駆けて行った。燃え盛る集落の、炎の迷路を駆けて行くようなその姿は、二度と戻れぬ地獄の釜へと飛び込むような、不吉で不安な暗示ばかり残した。

 その頃シンを連れ厩に着いたセイジは、この騒ぎで軍馬が出払っていることを知り唖然としていた。戦の為ではなく、大事な馬が焼け死ぬことのないよう、馬頭が皆避難させた後だったのだ。セイジも困ったが、これではこれから攻めて来る隣国に立ち向かう為の、騎馬隊も満足に組めないと知る。
 ここに来る道中で、隣国の兵が迫っていると聞いた彼は、本来なら己も隊を率い、国の防衛の為に応戦に向かう筈だったと、多少後ろ髪を引かれる思いでもあった。だが今はそれより大切な事を任されている、長をお守りすれば氏上一族は滅びぬと思い直し、漸くここに辿り着いたのにと言うところだった。
 一体どうすれば良いのか?。歩いてこの国を抜けるのは難しい。ろくな準備もなく、身重のシンには到底無理なことだ。だが、戦に負ければシンは必ず亡き者とされるだろう。負けなくともスズナギ様に見付かれば、ただでは済まないだろう。ここに残ることはできない、一刻も早くこの国から脱出しなくてはならぬのに、その手段が断たれてしまったとは…
 立ち止まったままセイジが落胆していることは、身を寄せていたシンにもありありと伝わったようで、彼はそんなセイジを励ますように、少し不思議な言葉を連ねた。
「欲望や怒りこそ敵だと言います、穏やかに時を待ちましょう。きっと山の神が導いて下さいます」
 それは天竺の神の教えのひとつだったが、こんな時に初めて耳にした言葉をセイジは、まるで天上からの預言のように錯覚した。そうだ、私達は山の神に引き合わされた者同士。その命運を握るのも尊い山の神であろうと。そしてその言葉を語るシンが、セイジには初めて神々しく輝いて見えた。
 これまでただ氏上一族の長だと言う意識しかなかった。ただ誰よりも愛しい人だとしか思わなかった。だからこそ恐れもなく近付くことができたのだが。
「…あなたは真の神の子か?」
「僕は僕ですよ。あなたのお子を宿した、ただの人間です」
「そう、だな…」
 シンは、ポカンとしたセイジの様子に笑っていたが、真相はそのどちらなのか判らない。本人にそれが判るかどうかも知らぬ上、今は悠長にそんな議論をしている場面でもない。真実がどうかなど後で考えればいいことだ。今はとにかく、この神に最も近いであろう人を連れ、何処か遠くに逃げなければならない。そして自分がこの人を生涯守って行かねばならぬと、セイジは意思を強くしながら辺りを窺い始めた。
 幸い厩の周辺にはまだ火の手は迫っていない。だが風向きのせいか切りなく煙が漂い、木や草の焼け焦げた匂いが辺りに充満している。暮らしていた人々は逃げ出した後なのか、並ぶ家屋にも人の気配は感じられない。このままでは、現在何がどうなっているかも掴めない。いつまでここに隠れていていいものかと、次第にセイジの気持には焦りの色が見えて来る。
 その時だった。
 厩から半身を出して外を覗いていた、セイジの肩を後ろから掴む者が居て、セイジはぎくりと身を固くした。逃げ出そうとする者を追い、火を焚いて回るスズナギ様に見付かったのでは…、と、一瞬の内に顔から血の気が引いた。恐る恐る振り返ってみるとそれは、
「セイジ」
 その親しげな呼び掛けに一気に気が抜ける。ここから近い場所に家のある文官のトウマであった。セイジ達がここにやって来たのを見掛けたのか、人伝に知ったのか、彼は故意にふたりの所へやって来たようだ。しかも驚かされた。彼の手には一頭の馬が居るではないか。
「この馬を持て、今がお前に取っての最大の命運だ。長を連れて山の向こうに逃げろ」
 その馬は、文官の一族が有事の際に、大事な木札の類を運び出せるよう飼っていたものだが、ふたりの為に譲ってくれると言った。否、トウマにしても、この国がただ滅ぶばかりでは忍びなかっただろう。せめて長が生き延びられるよう、何か計らってやりたい気持でそうしたのだ。セイジにもその心情は充分汲み取れたので、両手で彼の手を取り言った。
「済まぬ、トウマ」
 あの歌垣の夜、そしてその翌日、祭に関する様々なことを面白く語り合った日々が、こんな結末に繋がっているとは思ってもみなかった。ただの氏人の若い息子の分際で、氏上一族の頂点に立つシンと、かかわりを持つことになるとは思わなかった。こうして、国を出て後の世に命を繋ぐ為に、トウマの手を借りることになるとは思わなかった。だがそれも皆ひとつの運命だ。
 もし、この国が消え失せようとも、人々を長く愛してくれた山の神が導く結末なら、そう悲惨なことにはなるまい。きっとトウマのことも、ナステイのことも、他の官職の人々や神官達も、また新たな土地で生きていてくれるだろうと、セイジは意を決して信じることにした。
「また何処かで会おう、それまで達者で暮らせよ!」
 シンを前に抱え馬に乗り込むと、セイジはその手綱を確と握り締める。燃え盛る集落とは反対の方角に向け、あの歌垣の行われた山の向こうに向け、ふたりを乗せた馬は勢い良く駆け出して行った。一刻を争う中、感謝の言葉も早々に出て行くのは、それなりに切なかったけれど、それも解っているトウマは笑ってふたりを見送った。
「それはこっちの台詞だ」

 実際ふたりの行く先は、この土地に残る者達より厳しい茨の道だ。余所の国と言っても友好的とは限らない。全く知らぬ土地なら尚更、シンが氏上一族であることを信じてもらえるかどうか。そしてこれまでのような安楽な生活は、どの場合も望めぬだろう。場合に拠っては酷い待遇に落とされる可能性もある。それでも堪えてやって行けるだろうか。
 果たしてセイジひとりで、身籠ったシンを守り切れるのかどうか。
 どうか彼等に良運を、どうか、正統なこの国の末裔が生き延びられるよう、山の神よ彼等を守り給え…。
 


 こうして山鹿の国は滅んだ。



 スズナギの積年の恨みから来る願いは叶ったのだ。けれど山の神に引き合わされた、愛し合うふたりの願いも同時に叶った。大事な物を避難させる為、山の中腹まで逃げていたトウマはそこから、煙に包まれた惨澹たる集落の景色を見下ろしていた。
 国破れて山河あり、とは、より後世に語られる言葉だが、今は正にそんな心境だった。極論を言えば国などなくても人は生きられる。この神から与えられた大地は、国などと言う小さな括りとは比べようもなく、豊かで包容力のあるものなのだ。
 今は散り散りになった者達も、皆何処かで逞しく生きていてほしい。残った者達も草木のように、踏まれても起き上がれる強さで生き続けてほしい。そしていつかこの、神を頂く国の隆盛時代が伝説として、平和に語られる日が来るように、と、トウマは夜明けを待つ思いで風を感じていた。

 今は各地で、小国同士の小競り合いが続く世の中だが、いつか、それこそ歌垣の祭に男女が出会うような情熱で、この日の本の土地全てを潤おし、誰もが歌い踊る夢の国が出現するかも知れない。誰もがその理想に向けて進もうとするなら、それはいつか達成されるかも知れない。そしてその時は、もし天竺の教えが正しいのなら、生まれ変わって今一度人として生きたいものだ。
 ここは古から神の住う土地なのだから、望みは必ず叶うと信じよう…。









コメント)と言う訳で、珍しい古代史の物語でしたが、最後の所、一応トルーパーの話に繋がってるのわかりました??。日本が一番豊かな時代に生まれ変わりたい、と思って、生まれ変わったのが鎧戦士達、と言う訳でね。いやこの話はパラレルだから、別に繋げなくていいんだけど。
ただ、その最後の部分を入れないと、何か先行き暗いままで終わっちゃうので、ちょっとだけ希望を感じて下さい!と言うつもりです。いやまあ、話としては書かないけど、私の頭の中では当然征伸は、それなりに苦労しても幸せになると考えてますよ。他の登場人物もほぼみんな生き延びますので御安心を。但しシュテンだけは判らない(そこはテレビ版の流れと同じ)。
さてこのお話は、本当に予定通り書けて私もびっくりです。体調が良かったからそうできたけど、普段はこうは行かないのでホントに珍しいことです(^ ^;。このサイト内では少し毛色の違った小説として、楽しんでいただけたら幸いです。



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