* 征伸分析 #1 *
シンボル編



タロットについて
 「タロット」の呼び名が日本では知られていますが、世界的にはフランス語で、「タロー」と呼ぶ方がポピュラーな占いカードです。これは現在の形(22枚の大アルカナ、56枚の小アルカナ、合計78枚のセット)が出来上がったのが、15世紀頃のフランスだからです。
 それ以前から占い用のカードはありましたが、太古のように占いを信じる時代が過ぎて、豊かなフランス貴族の間で、きれいな絵柄のカードをコレクションしたり、遊戯カードとして楽しみ始めたので、今の規格が出来上がったようです。
 今も昔も「カード」と名の付く物は、集めたくなる不思議な魅力があります。尚、小アルカナの56枚は、今のトランプの元になっています。
 タロット、又はタローの起源ははっきり判っていませんが、ペルシャ系ジプシーからフランスに伝わる、その前はエジプトやインドとする説が有力です。インドには12世紀頃、アルダナーリやハヌマンなど、インダスの神々が描かれた占いカードが存在したそうです。又、カバラのシンボルが多く使われていることから、アラビアを渡って来たのもわかります。
 更に、遊戯用カードの起源は中国で、11世紀には貴族の女性が、気慰めに遊んだカードがあったそうです。紙を発明した国がカード文化の発祥の地であって当然。タロットは西洋的な物のように見えて、実は起源は東洋にあるのです。



<西洋占星術によるカード解釈>

伊達征士さんの星座に対応するタロット分析
VI
THE LOVERS
恋人

keyword
調和・結合・選択
強力な神の託宣
こいびと!
図柄の解説/

この図柄では、
まだエデンの園に住んでいた
アダムとイブが描かれている。
彼らを守る偉大な神と、
彼らを誘惑する蛇と知恵の実
どちらを取るかというところ。
他の図柄ではキューピッドが
男女に矢を構えているなど
描かれ方には色々違いがあって、
けれど
本来の図柄は
道の上に一人の男を挟んで
二人の女が描かれ、
どちらを選ぶか?という
絵なのだそうです。

 双子座を表すカード「恋人」には、楽しい事、魅力的な事、若い男性、共同作業、コミュニケーション、対立する二者の調和、幸せな交際、恋の成就、自由な恋愛、精神的な愛と肉体的な愛の悩み、結果より過程、二者択一、選択の時、選択に対する閃き、などの意味が含まれます。
 この中で「若い男性」というのは、双子座の守護神ヘルメスが象徴されていると思います。ヘルメスは使い、通信、旅の神で、羽の生えた靴をはいて、自由に世界を行き来しています。芸術や美しい物を愛し、また悪戯好きで、いつまでも子供っぽさの抜けない神でもあります。双子座の人はこのヘルメスの気質が強く現れて、いつまでも若々しい心を持ち、広い世界から美しくて楽しい物を、集めて回るような生き方をするようです。
 そこで「美しくて楽しい物」=「恋愛」という形、又は富を象徴する財宝や不動産、富を集める企業の経営など、精神と物質、双方に欲求があるという二方向性が形成されるようです。そのせめぎ合うふたつの心の、どちらかを選択しなければならない、というテーマがこのカードには秘められています。
 このカードの「6」という数字(更に6月生まれですし)にも、同様の意味があります。カバラやユダヤ教で使われるシンボルに、「ダビデの星」というマークがあります。ふたつの三角形を重ねた六角の星(ヘキサグラム)で、この内上向きの三角が男性的な要素(ロゴス又は物質)、下向きの三角が女性的要素(パトス又は精神)を表し、それが重なった形を持つのが双子座、という訳です。ちなみにインドのヒンズーの図柄にも、シヴァは上向きの三角、シャクティは下向きの三角に描かれています。
 アダムは理性的に考えて、エデンの園に居続けることが幸福だとわかっているのに、まだ他に、もっと魅力的なものが在るかも知れないという、知的欲求に誘惑されています。けれど誘惑する蛇(サタン)も、イブも、元々は自分の中に在った要素です。自己の中の矛盾との葛藤が、双子座の永遠のテーマなのかも知れません。




毛利伸さんの星座に対応するタロット分析
XVIII
THE MOON


keyword
不安・迷い・危険
潮の満ち引き
つき。
図柄の解説/

ふたつの塔の間に、
山へと続く曲がりくねった
一本道を照らす月。
犬と狼が月に向かって吠えている。
水辺からはザリガニが必死に
這い上がろうとしている。
2という数は太陽に対して
元来「月」を表す数。
夜の優しさ、夜の恐ろしさ、
ふたつの面が揺れ動く
常に形を変える不安な月。
心の水辺から、
月はその深淵に話しかけて来ると
信じられていた。

 魚座を表すカード「月」には、不安、恐れ、心配事、胸騒ぎ、悪い予感、迷い、うつろいやすさ、考えがまとまらない、秘密の行動、ごまかし、裏切り、中傷、詐欺、予期できない危険、先行きが見えない、霊的能力、幻想、などの意味が含まれます。
 月は太古から、出産に関わる力があると知られている通り、このカードには月の女神で出産の神、ダイアナが象徴されています。しかしその母性的な面ではなく、夜の女神、暗神ヘカテの面がカードでは強調されているようです。ダイアナとヘカテは同一の神と見るのが一般的なので、魚座の人も、双子座同様にふたつの要素を持っています。人の夜を安らかに守る、母なる優しさの月であり、秘密的で気紛れな、夜盗をも守る月でもあるのです。
 つまり人に見せる表の顔は、穏やかで優しく、控えめな印象を持っています。けれど裏の顔、つまり心の内には常に不安定な心理を隠していて、ともすれば悪い方にも傾く、危うい要素を持っているのが魚座です。カードに描かれている犬や狼は月の暗い面に、水から上がったザリガニは明るい面に惹かれているようです。どちらにしても危なげな物というのは、色々な意味で放っておけない存在です。魚座の人は周囲からの影響で、二転三転する人生を送りやすいそうです。
 更にこの図柄はユングに代表される、心理学的シンボルを多く含んでいます。特に水は代表的な無意識の象徴で、意識の無い時に出て来る原始的な心、深層心理と言われる本質的な欲求が、このカードには込められています。本来「人」という動物に、神のような確固たる要素は存在しません。永遠の愛だの、生涯の契約を誓っても、明日どうなるかは誰にも予見することはできません。そんな人間の根本的な不安に対して、変化に次々馴染んで乗り切るのが魚座です。
 そしてもうひとつ、本当の意味では善悪の区別さえ人にはできません。だからこそ、全ての要素を包括して認める優しさを持っている、それが月という存在に象徴されているようです。





征伸的補足メモ
ここまでの解釈の中で、ヘルメスとダイアナ(ヘカテ)の話が出て来ましたが、ヘルメスの「悪戯好き」の多くは「盗み」です。なのでヘルメスは泥棒や盗賊に信奉された歴史があります。また同時に泥棒や盗賊の信仰を集めたのがダイアナで、夜の旅の安全を守る女神でもあった訳です。こう考えると、征伸って夜の属性なんだなって思います。



<タロット占術でのカード解釈>

伊達征士さんの象徴タロット分析
KING of
PENTACLES
金貨の王

keyword
熟練・収束・商才
実際的で人望のある王
金融王?
図柄の解説/

豊かに繁栄する都市、
城や水道、実りの植物、
それらを背にしながらいつも
どこか陰鬱な面持ちで座る王。
人脈もあり、信用もあり、
権威ある指導者の立場で、
こんなにも物質的に成功を
収めているのだけれど、
まだ満足するに至らない。
何かが足りない。
常に更に上を求め続ける
現実しか見えない人物。
欲求に縛られた溜め息が
聞こえて来そう。

 双子座の男性を象徴するカードは「金貨の王」。実績のある指導者、組織を束ねる、経営手腕、事業の成功、商才と学識を兼ね備える、技術や技能を持つ、関心の多さ、金運、物質、着実、良い援助、信頼、頼りになる人、実際家、趣味人、などの意味が含まれます。
 ペンタクルとは、金貨に描かれた五芒星(ペンタグラム)から派生した言葉ですが、何故金貨のマークを「ペンタクル」と呼ぶか。実はトルーパーにも出て来た「結界」と関係があるのです。古来から五芒星には魔除けの意味があって、「魔」即ち霊的な存在から、現実の世界を守る意味での魔除けなのです。つまりペンタクルは現実世界の象徴であり、又、金貨は物質的価値観の象徴なので、それらが合わさって、非常に実際的で現実的なスート(マーク)と言えます。因みにトランプではダイヤに当たります。
 金貨、そしてダイヤ(モンド)と来ると、すぐにイメージが浮かぶでしょう。物質的にとても繁栄している王の図柄です。双子座の男性はビジネスで成功する要素を多く持っていて、特に金融関係、会社経営、人との交流の多い営業などに向いているそうです。けれど成功者になっても満たされない、いつもどこかに不足を感じているようです。それがこの絵の王様の表情です。物質欲の虜というよりは、物質を集める才能はあっても、心を豊かにする才には恵まれていない様子です。
 又、金貨の王の言葉は幾分不明確なのだそうです。それは関心のある部分について、深く慎重に考えながら発言するからです。適当な事を幕無しに述べることはありません。それだけに信用のおける人ではありますが、その時その時の気持ちを即座に、表現して伝えるような事は苦手です。感受性や感動性に乏しい面の現れです。逆に競争社会ではそれが有利に働いて、周囲に悩まされる事なく安定していられる訳です。
 更に、愛情を持てる人には献身的になれますが、憎む者に対しては執念深く、狭量で冷淡な面を持っているのも確かです。そんなところがが双子座の男性像なのだそうです。



毛利伸さんの象徴タロット分析
XII
THE
HANGED MAN
吊るされた男

keyword
犠牲・試練・反転
強力な水の精
マゾ??
図柄の解説/

逆さまに吊るされた男
けれどその表情は穏やかだ。
自力ではどうすることもできない、
そんな状況に度々遭うことは
しばしばあるだろう。
純粋すぎる殉教者になるか、
苦境を逆手に取って笑うか、
或いは、こんな時に限って
新たな境地を見い出す。
己の中の恐怖に打ち勝つ時
何に対する恐れもなくなる。
従順でいられることは、
人の強さかも知れない

 魚座の男性を象徴するカードは「吊るされた男」。犠牲、献身、服従、殉教者、忍耐、試練の時、身動きできない立場、何かに縛られた状態、現実認識の誤り、価値観の逆転、発想の転換、柔軟な精神、変化する環境に適応する能力、などの意味が含まれています。
 このカードの図柄はとても不思議で、解釈には様々な説がありますが、カードの番号が「12」であることから、アラビアの占数術や、大陸の暦などに見られる、「ひと回りする死と再生」の二重性を持つとされています。故に死の恐怖に晒されながら、何かを信じて穏やかでいられる、反対の見解を示している絵なのでしょう。
 男の存在は正に宙ぶらりんです。天にも地にも属さず、現実の辛さを忘れる為に、自ら作り上げた幻想の中に逃げている状態です。第二次世界大戦の折、「母国の為に」という幻想を掲げた神風特攻隊などが良い例です。それらしい理想や夢を信じていれば、恐れる物は何もなくなるかも知れません。けれど非現実的な思想の上に、理想的な現実を築くことは不可能です。この状態で満足しては、本当におしまいになってしまうことが判らないのです。
 しかし、男の頭の後ろに後光が射しています。彼は世界を逆さまに見る事によって、全く新しい価値観を得ることができたようです。自分の在り方を逆さにすることで、この苦境の正しい意味が理解できたのでしょう。修行者が自ら己を痛めつけて、自我を払い、宇宙的な真理に触れようとするように、追い詰められた状況の先には、これまでの全てをくつがえす救済の光が射しています。苦労が報われることが夢ではなく、確かな現実として受け止められる、そんな心境に至った訳です。
 吊るされた男は、夢に逃げて現実をやり過ごそうとしている姿です。一時的にそうならば、むしろそれは自己をコントロールして、苦境を乗り越えて生きる知恵とも言えます。柔軟な思想で軽やかに現実を見れば、世界はエッシャーの騙し絵のような物かも知れません。夢に生きる魚座の男性はそんな風に、しなやかに生きながら夢を実現させていくタイプです。



征伸的補足メモ
占星術の解釈では同じ属性に存在する二人だったけど、タロットの伝統的解釈では「現実」と「夢想」、全く逆の物の見方をしていることがわかります。実はこの後の機会に、占星術と血液型を合わせた分析をする予定ですが、そっちでも「見ている世界が違うのに同じ行動をする二人」とか出て来ます(笑)。フフフ、だから征伸って面白いんですよ〜。





監修・ゆだみえこ copywrite : Samurai Electric Wave/Thanksgiving2/ARCHETYPE 2001
一部校正 2007.3


【参考文献】「タロット大辞典」東條真人/国書刊行会・「秘法カード占い」木星王/日本文芸社
「タロット」A.T.マン/矢羽野薫訳/河出書房新社・「タロット」A.ダグラス/栂正行訳/河出書房新社
「カード占い」浅野八郎/KKベストセラーズ・「秘法タロットカード」沖門土/海界めい/実業之日本社
「ギリシア・ローマ神話図詳辞典」水之江有一/北星堂書店

なお、紹介したカードの図柄はスイスPlaying Cards社の
ライダー版タロット(ウェイト版とも言う)を参考に、管理人が描き直したものです。




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