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 今回はSFラブコメの金字塔、「私を月まで連れてって」を選んでみました。
 配役はこのサイトとしては変則ですが、当麻=ダン(見た目から)、秀=ニナ(これも巻き毛の見た目から)、伸=おヤエさん(特技的に)、征士=ハリアン(見た目から)、ほぼ出番ないけど遼=ハリアンの兄のブライト(真面目さから)、としました。これで征伸と当秀だから、主人公が征伸じゃなくてもいいや。
 他の配役は、メインキャラが多くない作品なので、あんまりいい配置ができなかったけど、ナアザ=アーチー、アヌビス=アーチーの友人のジョン、ニナの父=朱天、ニナの母=ナスティ、ガイアはラジュラ、エルロイは純、宇宙局の局長が迦雄須か阿羅醐かなぁ。

■竹宮恵子作品の思い出
 竹宮先生と言えば、BLの源流とも言える「風と木の詩」、映画とTVアニメにもなったSFマンガ「地球へ…」が有名で、そのふたつが代表作と言えるけど、(TVアニメは、24時間テレビのアンドロメダストーリーズもあった)、実はSF小説好きな人、作家等に一番支持され、好かれていたのがこの「私を月まで連れてって」でした。
 何故かと言うと、作中に実在するSF小説やSF作家の名前が出て来て、その要素が話のネタにされていたり、物語もSFとファンタジーで構成しつつ、女性目線でのコミカルな一話完結で続く形式が、当時はとても画期的で、「これぞ女流SF」と言う優秀さを存分に見せていたからです。それまでの男性原理的なSFとは一線を画す作品でした。

 またタイトルも良かったですね。エヴァのEDにも使われた「FLY ME TO THE MOON」を、既に80年に取り上げていた、竹宮先生のセンスも素晴しい。いや、最初の話が描かれたのは70年代なんだけど、その第一話のタイトルは「夢見るマーズポート」と言う題で、多分その後の連載が始まった80年に、「私を月まで連れてって」と言うタイトルになったと記憶してます。
 そしてこのマンガは、60〜70年代の海外SFを読み込んで来た、SF好きな人々の支持を集めることになりました。以前持っていた「地球へ…」のムック本に、このマンガのアニメ化を望む声が多く載っていたのを思い出すけど、当時はアニメ化がなかなか難しかった時代。一話完結形式は良いけど、内容が子供にはちょっと難しい、元ネタの著作権の問題もあり、実現しなかったんだろうと思います。
 主軸であるラブストーリーは、帯アニメでも充分展開できるものなのに、上記の点から竹宮作品の中で、少しマイナーになっちゃってるのが勿体無いですね。私は一番好きな作品です。これまで萩尾望都作品は3回もコラムを書いたけど、萩尾先生とは違う、竹宮先生らしいマンガとして、一番の傑作がこの作品だと私は思ってます。

 それにしても、竹宮先生と萩尾先生は共同生活をされていた時代もあり、若い頃はお互い切磋琢磨して、良質な作品を多く輩出されて来たことを思うと、当時の環境や、優れたライバルがいたことが羨ましくもありますね。
 で、このマンガで私の一番のお気に入りは…、主人公とニナのカップルもいいんだけど、やっぱりその背景にいるキャラの魅力です。一番は何と言ってもハウスキーパーのおヤエさん。女性として優れているとはどう言うことなのか、具体的に説明されたマンガを私は多分初めて見た(初めて読んだのは高校生の頃)。その一点だけでも、竹宮先生はよく物を知ってる方だと感心できます。
 またニナの両親とアーチー、フレキシブル家の人々の日々の生活が、現代人の様々な悩みや問題を反映してて、SFなんだけど身近に感じられ、愛すべき家族に思えて来るのもとてもいいです(^ ^)。こういう路線のマンガが本来、竹宮先生の一番の魅力なんじゃないかと思うんですが…。

 そう、何故私が、萩尾先生の方をより評価しているかと言うと、その他の作品にあまり好きじゃない面があるからなんですよね。代表作として挙げたふたつについて書くと、「地球へ…」も「風と木の詩」も、何と言うか絵的なエロスが強い面が、ちょっと下品に感じるんです。元々竹宮先生の絵はエロティックな線を持ってて(手塚治虫に通ずるような)、それ自体は悪くないけど、それだけに描写は押さえ目にしないと、すごくいやらしく見えてしまうと言うか。
 私は小学生の頃からそんな事を感じてて、どうしても竹宮作品には反発を感じてしまう所がありました。ただその中で、「私を月まで連れてって」はバランスが良く、私のお気に入りになったと言う訳です。あ、「雪国」と言う、川端康成のパロディマンガはむっちゃ好きです。

 …折角だから「風と木の詩」の配役も考えてみようか。あんまり気乗りはしないけどジルベールを伸にすると、征士=オーギュ、遼=セルジュ、秀は…アンジェリン(流石にブロウを振っちゃ可哀想)、当麻は………ロスマリネ!?(ジュールの方がいいか)。
 「地球へ…」だったら、主人公はこの場合も遼、サム=秀、カリナ=ナスティ、ソルジャーブルー=当麻、フィシス=カユラ、トォニィ=ラジュラ、朱天=ハーレイ、ナアザ=エラ女史、アヌビスはシロエとしておくか。征伸はキースとマッカで丁度数がぴったり。…思い掛けず友達の好きなキスマツになってしもうた。
2014.12.1