■プチ鎌倉旅行記(2009.5/6〜7)
 そもそもは、5/6に鎌倉能楽堂に能を観に行く予定があり、折角鎌倉に行くんだからついでに少し観光して来よう(私の自宅からは二時間以上かかるし)、と言うことにしたプチ旅行です。
 本来は湘南新宿ライナーを使うのが、最も早い行き方なんですが、家を出たのが早朝の為、丁度良い時間帯に当るのは横浜線を使うルートでした。そんな訳で横浜から鎌倉へ、鎌倉から江の電に乗って長谷へ行きました。



5/6 長谷

近いのに「迷った?」と不安になる鎌倉能舞台
 長谷の駅からメインストリートを歩いて行くと、鎌倉能舞台へは看板のある角を曲がればいいだけ、の筈なんですが、実はその角からかなり奥にあるんですよ…。
 角を曲った辺りの雰囲気のいい住宅街を、楽しみながら歩いている内に、チラシに載っていた地図(略図)の場所に着いた。筈なんだけどどう見ても能楽堂には見えない…。更に奥に続く道は山に入って行く感じで、木々が鬱蒼としていて、段々「このまま進んで大丈夫なのか…?」と言う気持になるんです(^ ^;。
 不安が募って来る頃、上演のお知らせ掲示板が見えて来るんですけどね。案内もなく初めて行くと、多分みんなこんな気持になると思います(笑)。
 鶯の鳴き声がしょっ中聞こえて、雰囲気の良い山なんですけどねー。能楽堂自体は、外観は普通の建物って感じだけど、周囲のロケーションはとてもいい場所でした。

 能自体について書くと長くなるので、ここでは省略しますが、この日は鎌倉能舞台の四十周年記念と言う、特別な上演だったので、足立禮子さんの設立当時のお話などが聞けて、色々お勉強になりました。

悠さんお勧めの御霊(ごりょう)神社
 その後、お昼を食べに行こうと思ったら、宛てにしていたお店が混んでいたので、少しメインストリートを離れた方向へ。
 一緒に能を観た平野悠さんが、ここに来るとよく寄ると言う御霊神社を訪ねました。  午前中は止みそうだった雨が、昼時になりまた振って来たので、ちょっと寒々しい様子だったのが残念だけど、踏切のある正面の入口から見渡した、神社内の木々やお社の配置が妙に綺麗で、静かで落ち着いた感じが良かったです。
 日射しの暑い時に寄るとすごく良さそうだったなぁ。残念。
 ただ、踏切の隅にカメラを構えていた人がいて、ここがとてもいい写真スポットなのを教えてくれてラッキーでした。丁度江の電がトンネルから出て来た絵が撮れます。紫陽花の咲いている時期はもっといいかも。
 因みに後から知ったことですが。「御霊」は「みたま」と読みたくなりますよね。何故「ごりょう」と読むかと言うと、大庭、梶原、長尾、村岡、鎌倉、の関東平氏五家を奉っているから「ごりょう」(五霊)と読むようです。源氏の里に意外にも、平家の神社が残っているのは面白いですね。

偶然通り掛かった古民家カフェ「一花屋(いちげや)」
 ガイド本に、長谷の町には古民家を改造したカフェやダイニングが、あちこちにあると載っていたのですが、特に行こうと思ってもいなかったのに、偶然御霊神社のそばで発見。入口がとっても可愛らしかったので、ここで昼食にしました。
 このお店は私の買った本には載っていなかったけど、「手ぬぐいカフェ」とある通り、オリジナルの面白い柄の手ぬぐい、面白い陶器、雑貨などの販売もしています。元は吉祥寺にあってわざわざここに引越したとか、完全オーガニックなメニューなど、色々こだわりの感じられるお店です。
 ランチメニューのおにぎりセットの他に、酒粕のレンモケーキ、いちじくのキャロブケーキを注文しましたが、どれもさっぱりしていて美味しかったです♪。おにぎりに付いていた、ひょうたんの漬物が珍しくて美味しかったんだけど、何処で売ってるのか聞き忘れたなぁ…。
 でもこのお店に入って良かった、と思えたのは食事以上に、やっぱり店内の面白さです。他の古民家カフェが皆同じではないと思うけど、このお店はかなりセンスのいい人が経営してますね。
 いかにも古びた和室の広間と廊下に、バラバラのちゃぶ台とバラバラの座布団と言う状態なんですが、普通ならただ汚らしく見えるだけのところを、すごくユニークでアットホームに見せてます。座布団の柄ひとつを取っても面白かったな。
 そんな訳で、食べ物も可愛らしいし、周囲に置いてある売り物も面白かったので、キャースカ騒ぎ過ぎて店員さんに笑われてた(^ ^;。まあいつものことよ…。

その後雨がかなり強くなって…
 鎌倉駅で悠さんと別れた後、元々の予定では源氏山の方へ行こうと思っていたのですが。
 段々雨の振りが激しくなって、雨自体より風がキツくなって来たので、八坂神社の前までで断念することになりました…。明日の為に今日は早く休むことにして、そこからUターンしました。
 ただ、鎌倉駅から八坂神社までの道は、ゆるやかな雰囲気のいい通りでしたね。地方の観光地は単に鄙びてるだけだけど、鎌倉はそれプラスお洒落ですよね、やはり。

 電車でひと駅移動して、大船のビジネスホテル・相鉄フレッサインに宿泊。いやその、鎌倉にあるホテルは高い所が多いので、ひと駅外してみました(笑)。
 でもこのホテルは、これまでに泊まったビジネスホテルの中ではかなり良かった。建物が新しいから綺麗だし、ベッドは全室セミダブルだし。女性用のサービスもあるし(アメニティグッズ)、飲物のティーバッグは取り放題だし。無論駅からも近いです。
 まあでも、大船に泊まる機会がある方はあまり居ないと思うけど(^ ^;、取り敢えずおすすめです。


長谷の町 御霊神社
左上)鎌倉能舞台に行く角を曲がった所。
最初はきれいな開けた住宅街なんですが…

右上)ちょっと暗いけど御霊神社。
鳥居のすぐ外が踏切。
鎌倉はそういう神社・仏閣が多し。

右)御霊神社の前から撮影できる風景。
多分鉄ちゃんには知られたスポットだろうな
江の電


一花 一花2
左上)「一花屋」の店構え。
木戸の門を一歩入ると
かわいらしいモノがいっぱい。

右上)おにぎりセット。
シンプルでお値段も安価です。

右)ケーキ2種
一花3



5/7 北鎌倉

連休明けにまさかこんなことが…
 昨日は後半、予定の行動ができなかったので、今日は気合を入れて早起き。
 ホテルの宿泊コースで、500円で朝食を付けられたので、朝はホテル内の上島コーヒーで朝食を済ませて、朝八時過ぎにはチェックアウトしました。今日からお仕事の会社員の皆さんに紛れて…。
 しかし、駅でとんでもない事が起こっているとは、この時はまだ気付きませんでした。テレビでもまだ何も言ってなかったのです。

  横須賀線に乗り込むも、いつまで経っても発車しない。その内放送が流れて来て、信号トラブルで前の電車が止まっているとのこと…。「当分動かないから代替バスを利用して下さい」と言うので、駅の外に出ようとするも、改札は外に出る人の長蛇の列(- -;。
 こう言う時、Suicaだと時間が掛かり過ぎるんですよね。アナログの定期や切符なら、すぐ外に出られそうなものなのに。
 出るだけで一時間も待ちそうだったので、取り敢えず動いている東海道線に乗って隣の藤沢へ移動。そこから北鎌倉にタクシーで行くことにしましたが、今度は途中の道路が電車の影響で大渋滞…。
 結局、藤沢-北鎌倉間に三千円も払うことになってしまった(T T)。
 その料金のせいって訳じゃないですが、結局今日の予定も全面的に変更することにしました。一日電車のダイヤが乱れることを考えると、他の場所への移動が鬱陶しくなったので。

何度も前を通るばかりだった円覚寺
 タイトルの通り、北鎌倉駅にくっ付いているお寺なのに、一度も中に入ったことがないので、今回は隈無く観て来ました(^ ^)。北鎌倉は過去に東慶寺2回、建長寺1回は観てます。
 まず、ここの見方は、線路で分断された白鷺池(びゃくろち)から回るものだ、と言うのでそこからスタート。しかし小雨が降り続く天気の中、暗ぼったくて寒々しかったのが残念。お寺の境内はむしろ、人が少なくてすごく風情があって良かったのですが。
 と言う訳で、踏切を渡って境内のメイン部分へ。総門から奥へと続く、雨に濡れた新緑の景色がとても綺麗でした。中央に通る広い道の、山門を少し過ぎた辺りや、舎利殿へと続く奥の方の景色が特に良かったかな。
 見て来た塔頭の中では、山門のすぐ横にある松嶺院が一番ステキでした。「山野草の寺」と看板が出ていて、入ると結構長い順路に、沢山の野草が集められていて楽しめます。またその順路が山の上に続いていて、その途中からの景色、登り切った所からの景色がとてもいいです。空が明るくなって来たところだったので、本当に眺めが良かった。
 尚頂上には墓地があり、ノンフィクション作家の開高健の墓石や、オウム事件の坂本弁護士一家の墓があったりします。
 次に、北条時宗の霊廟がある佛日庵。塔頭の面積はかなり小さい所だけど、珍しい茅葺屋根の霊廟は、少しお金を払っても近くで見た方がいいです。取り敢えずこのお寺は、時宗の発案で建立されたものだし。
 そのすぐ奥には黄桜院と言う、時宗の母堂の為の塔頭がありますが、それ自体より、門を潜った場所から聖観音のお社を臨む、庭の草木の様子がとても綺麗です。入口付近に植えてある、淡いピンク色の葉を持つ木が妙に美しかった。あれは何と言う木なんだろう…。
 舎利殿は拝観できなかったので、手前に戻ると、途中にある方丈のお庭の一角がちょっと面白かった。庭の角にお地蔵様が数十体並んだコーナーがあって、最近よく「ミニ八十八ケ所巡り」のある寺を見るけど、多分その手のものだと思う。その入口、出口などに配された木や、きれいな石畳がとても景色のいい一角になっていました。
 そして、頂上の茶屋で知られる洪鐘(おおがね)ですが、取り敢えず長い石段を登ったものの、人が少なすぎて逆に茶屋には入りづらかった。そこからは東慶寺全体が見渡せる筈ですが…。
 その他、仏殿、選仏場(坐禅場)と、観られるものは全部観て回りましたが、電車トラブルのお陰もあって、静かで珍しい状態を観られたような気がします。

どこまで行っても緑の明月院
 他に行く所がないので(理由は後に書きます)、取り敢えず明月院に寄ってみましたが、特定の花の時期を外れているので、見渡す限り緑の庭でしたね〜。ここは北条時頼の墓所でもあるけど、それより「花が美しい寺」として知られているのに(^ ^;。
 まあでも、静かに雨の降る鎌倉石の参道、何処までも続く青々とした若葉の庭は、少し早い入梅のような風情があって良かったです。大体桜、紫陽花、菖蒲、秋の紅葉など、知られた風景は写真でいつでも観られたりするけど、今回は春雨の庭の静寂を知ることができた点がいい。
 そう、円覚寺はまだ観光客の姿があったけど、こちらは本当に人影がなくて、庭園全体がものすごく静かでした。歩いても歩いても視界の中に誰も居ないと言うのは、意外と貴重な経験かも知れないですね。
 そう言えば円覚寺でも見ましたが、白紫陽花だけは花を付けていました。白は開花が早いのかな?。

やっぱり予定外に高級ランチ
 北鎌倉は、ランチで五千円クラスのお店が多いことは知っていたので、本当は鎌倉駅の方で食事をするつもりだったんです。でもこの際しょうがないので、丁度通り掛かった京漬物屋さん「近為(きんため)」の、お茶漬けランチ(2100円から)を食べることにしました。
 ちなみにお茶漬けと言ってもコースなので、先付けに漬物とお寿司、碗ものに白味噌のお雑煮、メインでようやくほうじ茶のお茶漬けと切り干し大根、デザートに蕨餅、と言う内容です。年数が感じられる畳の部屋で、ひとりひとり塗りのお膳で食べる昼食は、昔の日本人体験みたいで面白いです。
 で、とにかくお茶漬けがすごい。かぶの形の器に10種類くらいの京漬物(余るくらいだった)と、ちりめん山椒も付いていてとにかくご飯が進む。おひつにあった二膳分くらいすっかり食べ切りました(^ ^)。季節によって変わるだろうけど、筍の漬物が美味しかったです。
 しかしびっくりしたのは、隣の三人の席にお茶漬けが運ばれて来た時、三人分の漬物がオベリスクのように積まれていたこと(笑)。いや大袈裟な表現じゃないので、是非複数で出掛けてみて下さい!。
 と言う訳で、このお店は内容から言えば、全く高いとは思わなかったです。シーズン中は要予約らしいけど、流石に空いてる日だったのですぐ入れました。

ああ、本当ならお漬物をお土産に買いたかったけど、タクシー代で思わぬ出費があったので、何も買えなかったのが残念です…。


ここまでで午後一時半くらいになり、電車のダイヤが混乱していることを思って、早めに帰ることにしました。
 取り敢えず家の者に頼まれていた、大船の鯵寿司をお土産に買いましたが(鎌倉駅でも売ってます)、大船にそんな名物があるなんて、今の世代はあまり知らないですよね。昔は神奈川方面のお土産として有名だったそうです。
 酢が利いていて美味しかったです。


円覚寺 円覚寺
円覚寺 左上)円覚寺の入り口。
この景色は何度も見てるんだけど。

右上)円覚寺の塔頭、松嶺院の裏山。
この上が墓地。

左)その山の途中から。
円覚寺の山門が見える。


野草 聖観音
左上)松嶺院の山野草。
「翁」を観た後なので「おきなぐさ」。

右上)黄梅院の門を潜った正面。
聖観音へと続く景色。

右)北条時宗の霊廟。
中に多分木製の時宗像がある。
北条時宗


北条時頼 明月院
左上)明月院の北条時頼の墓石。

右上)同じく明月院の、有名な源氏石の参道。

右)「近為」のお茶漬けランチコースの先付け。
真ん中は奈良漬けのお寿司。

下2枚)メインのお茶漬けセット。
複数で注文すると、右の写真の各漬け物が
とんでもない山になる(笑)
近為
お茶漬け1 お茶漬け2



 それにしても、特に二日目は運が悪かったです。本当は材木座の光明寺と、浄光明寺の阿弥陀堂を観たかったのに、雨で阿弥陀堂の拝観ができないので、北鎌倉の古陶美術館に行こうと思ったら休館日。電車トラブル以外も色々とツイてなかったです。
 でも旅にそんな運・不運は付き物ですね(- -;。朝、連休明けの会社員が駅で足留めを喰らって、皆さん必死な様子だったのを思い出すと、遊んでる身なんだから文句も言えないな、と思いました(苦笑)。
 ま、いい思い出です。