* 五 行・陰 陽 研 究 *



 五行の由来は中国の気学から来ています。今流行っている風水なども気学ですが、「五行五気」と呼ばれる基本哲学には、太古の時代からの歴史があります。
 五行は中国の聖賢が大自然の構成要素と、その根本的な法則現象として考えたもので、西洋では四象を下地にした西洋占星術がありますが、東洋では五象が一般的なようです。恐らくそれが単位にも関係していて、日本では古来から五の倍数を重んじる傾向がありますが、欧米ではダースのような、四の倍数の単位がポピュラーです。そう考えると本来はもっと、東洋的な占いがメジャーであってもいいような気がします。
 又陰陽学とは主に「易占い」のことで、古代中国の権力者達が盛んにやっていたものです。大昔の政治は何処のどんな国でも、大工事や戦争の際は占い頼みが一般的でした。
 この易の起源は「四書五経」と言う、中国の古典にあるそうですが(BC12世紀〜BC3世紀頃)、「五」の字が入っている通り、既に五気の理念は理解されていた時代の物のようです。と言うより、西洋文化の流入と、方位学が発達した後、八卦(はっけ)の観念が生まれ、五気の解釈を発展させたのだと思います。天体に関心を持っていた中国らしい発達です。




<五行の分類>

 まず一般に知られている五行の解説ですが、トルーパーのメインの五人が、この五行を基礎に設定されたらしきことが、読むとよく判ると思います。以下が基本になるので、この後の文を読むにあたり、ちょっと頭の隅に置いておいて下さい。

熱物質の意。エネルギー現象。季節は夏、時間は昼。
    (まんますぎてひねりがないような)
大地の意。土に生まれ土に還ること。一日中、一年中。
    (意外と悟りのある人物らしい)
生物の意。あらゆる動植物。季節は春、時間は朝。
    (だから緑色なんですね)
鉱物の意。硬く冷めている固体。季節は秋、時間は夕方。
    (秋が誕生日だしね)
液体化の意。火とは反対の現象。季節は冬、時間は夜。
    (冬はともかく夜か…、そうか…)

 季節に関しては、各人の鎧にまつわる和歌の季語とは若干合っていませんが(笑)、キャラの性格についてはこれで正しいように思います。尚読み方は上から、か、ど、もく、きん、すい、と音読みで呼びます。五行はそれぞれが、地球上の物質の活動を表しているので、互いに利害関係を持って存在すると言う、自然の理論になっています。



<五行による相性>

 五行相関の面白いところは、正にじゃんけんのように、どれかが一方的に強いと言うことはなく、又全てが横並びでもないことです。「結界」のような形の右図では、要素間に何らかの力関係が存在する所に線が引いてあります。余談ですが、金とはGoldではなく金属全般を指すので、色は青で良いような気がします。
 又、じゃんけんのように単純でないのは、双方に有利になるか、不利になるかと言う、組み合わせの効果を説いていることです。双方に有利が生じる関係を「相生」(そうしょう)、双方に不利が生じる関係を「相殺」(そうさい)と言いますが、誰と誰が一緒に行動すると良いのかが、要素の質から判断できる仕組みになっています。
 以下は、相生、相殺の組み合わせです。
五行図


相生】勢いを強める関係。どちらかと言うと前者が後者を立てる関係。

(もくしょうか) 木は燃料になる
(かしょうど) 燃えた灰は土になる
(どしょうきん) 土中から鉱物が生じる
(きんしょうすい) 大気を冷やして水を作る ※鉱物は冷たいと解釈
(すいしょうもく) 水は木を育てる

相殺】勢いを弱める関係。主に前者が後者に取ってマイナスな状態。

(すいこくか) 水は火を消す
(かこくきん) 火は鉱物を溶かす
(きんこくもく) 冷気は生物を殺す
(もくこくど) 木は土の養分を吸収する
(どこくすい) 土は水を吸収する


 このように考えると、TV・OVAにあった中で例えば、遼と当麻の意見の合わなさに対し、遼と征士だと、自然に遼のサポートに回る征士とか、色んなシーンを思い出しますね〜。



<五行と九星占術>

 九星占術に於いての五行は「五気」と呼ぶのが一般的です。高島暦等でよく知られている、一白水星、二黒土星など九つの要素がありますが、星自体は身近な天体の五つしかありません。つまり九つを五つに分けることができます。鎧の色もほぼこれに準じているようですが、唯一当麻だけはイメージが遠いです。征士に青と緑の両方が重なってしまっているせいでしょうか。
 尚、九星についての詳しい解説はここでは割愛します。星の要素の他に干支にも関係がある占星術です。

…九紫火星(くしかせい)
…二黒土星(にこくどせい)、五黄土星(ごおうどせい)、八白土星(はっぱくどせい)
…三碧木星(さんへきもくせい)、四緑木星(しろくもくせい)
…六白金星(ろっぱくきんせい)、七赤金星(しちせききんせい)
…一白水星(いっぱくすいせい)


 又、彼等の生まれ年は九紫火星の丑年(なんとうちのアホ父と同じ)なので、世代的な要素として防衛に強く、何かを守る為に戦う、などと言う仕事には適しているようです。
 年だけでなく、生まれ月も九つの要素に当てはめることができます。尚、年での判断が「本命星」と言うのに対し、月での判断は「月命星」と言います。個人の持つ要素は以下の通りです。

・8/15生まれ …八白土星(申)実用的、実際的な傾向で、よく動き回るリーダー気質。
・9/1生まれ …八白土星(申)同上
征士・6/9生まれ …一白水星(午)表面は穏やかで友好的だが、勝ち気で行動的な性質。
当麻・10/10生まれ …六白金星(戌)何事にも冷静で計算高いが、正直な律義者。
・3/14生まれ …四緑木星(卯)明るい社交家で多芸多趣味だが、自己主張が弱いタイプ。
 (この内、相性が良いのは一白と四緑、一白と六白、六白と八白の組み合わせになります。)




<陰陽八卦と五行>

 冒頭に説明した通り、陰陽には八卦と言う八つの要素が存在しますが、西洋的な四象の形式を用いつつ、五気の分類思想が土台にある為、要素の解釈は五行にとても良く似ています。五つだったものを改めて八つにした印象なので、朱天(カユラ)を除く八人全てを当てはめることができます。※鬼と言う要素はないので…
 以下はまずその基本的な解釈です。本来の並び順とは変えて、トルーパー版で列記しました。頭に付けた図形は卦を表す記号のようなもので、直線が「陽」、破線が「陰」の意味です。陰陽の組み合わせによって、ひとつの要素が構成されていると言うことです。

サイン 呼び方 表わす意味
【離】(り) 「火」を表す。人体の部位は心臓、目、血。動物は雉。中年の女性などを表わす。性質は麗く。季節は夏で晴れ。
※麗くは「つく」と読みます。遼らしい言葉かも知れない。
【坤】(こん) 「地」を表す。人体の部位は胃腸、腹部。動物は牛。母親・妻・老婦人などを表わす。性質は従順。季節は晩夏・初秋の曇り。
※牛+胃腸…。ぴったり。
【震】(しん) 「雷」を表す。人体の部位は肝臓、神経、足。動物は竜。長男・青年などを表わす。性質は動く。季節は春の晴れか雷。
※竜で正しかったか。(リク小説を読むべし)
【乾】(けん) 「天」を表す。人体の部位は頭、首、骨。動物は馬。父親・夫・上司などを表わす。性質は剛健。季節は晩秋・初冬の晴れ。
※剛健なんですかね、あれ。
【坎】(かん) 「水」を表す。人体の部位は腎臓、肛門、生殖器。動物は豚。中年の男性などを表わす。性質は陥る。季節は冬で雨・雪。
※ろくなことが書いてないので伸が哀れなり…。
【艮】(ごん) 「山」を表す。人体の部位は消化器、手、鼻。動物は犬。少年などを表わす。性質は止まる。季節は晩秋・初春の曇り。
※犬好きですしね、止める技も持ってましたしね。
【兌】(だ) 「沢」を表す。人体の部位は口、肺、歯。動物は羊。少女・末娘などを表わす。性質は悦ぶ。季節は秋で曇り・雨。
※楽しそうな人ではある、確かに。
【巽】(そん) 「風」を表す。人体の部位は呼吸器、股、腸。動物は鶏。長女などを表わす。性質は服入。季節は晩春・初夏で曇り・風。
※服入とは甘んじて受け入れること。こだわりがないらしい。



<陰陽八卦による相性>

 実際に易を占う時は必ず、上記の八つから二つの要素を取り出して占う為、要素同士の相性が一目瞭然なのが面白いところです。何故二つなのかは、「陰陽」と言う言葉から推察できるように、物事は全て表裏一体と解釈するからでしょう。但し、易の解釈は出る順序にも意味がある為、先に出て来た要素の方がリーダー、と思ってください。分りやすいようにキャラ順に並べています。

 火地晋(かちしん)
地上に太陽が輝き、活気があり見通しが立ち易い。前進して行く運。
 
地火明夷(ちかめいい)
地下に太陽が沈み、迷いが多く決断できない。時期を誤りやすい。
 
火雷噬○(からいぜいごう)※「ごう」の字が出ません。口偏に去に皿と書く。
障害や妨害に遭い易く多難だが、立ち向かう気力が好転への鍵。
 
雷火豊(らいかほう)
続いた盛運の中に陰りが生じ、表面は好調でも苦労が絶えない。
 
火天大有(かてんたいゆう)
大きな物を得て盛んな気運。調子に乗って過信しないように心掛ける。
 
天火同人(てんかどうじん)
共同作業に吉あり。表面は穏やかな時でも競争相手が多く、交際面が忙しい。
 
火水未済(かすいびせい)
始めは凶だが後々吉に転じて行く。何事も整わず、すぐ為せることは何もない。
 
水火既済(すいかきせい)
始めは吉だが終わりに乱れあり。現在は安泰でも将来に不安が生じ易い。
 
火山旅(かざんりょ)
物心共に不足しがちで落ち着かない。孤立し易く苦労も多い。
 
山火○(さんかひ)※「ひ」の字が出ません。「墳」から土を取った字。
体裁を飾るだけで内容が乏しい。背伸びや無理強いは厳禁。
 
火沢○(かたくけい)※「けい」の字が出ません。目偏に発と書く。
ふたつの物が背き合う意味。誤解・反目・内輪もめには注意。
 
沢火革(たくかかく)
物事を改革して行く気運。古きを捨て新しきを得て行く気持が大切。
 
火風鼎(かふうてい)
内容の改善に勤める。意志の疎通を計り、意見に耳を貸す柔軟さが必要。
 
風火家人(ふうかかじん)
外部より内部の安泰を守る。精神協調を忘れずにいれば吉。
 
地雷復(ちらいふく)
じっくり実力を養って、次第に運が開けて行く。前に進むのが良い。
 
雷地豫(らいちよ)
計画性をもって進めば恵まれる。楽しみに溺れ易いが、調子に乗らなければ吉。
 
地天泰(ちてんたい)
安泰を表す。現状に甘えず、常に努力と和を心掛ければ願いも叶う。
 
天地否(てんちひ)
意志の疎通ができず、人間関係に不満が生じ易い。忍耐が必要。
 
地水師(ちすいし)
慎重かつ正攻法で争い事に勝つ。軽率に動かないことが大事。
 
水地比(すいちひ)
人と親しみ助け合う。社交面が忙しくなるが、人への協力は惜しまずに。
 
地山謙(ちざんけん)
謙虚さが大事。始めは苦労があるが、将来を見据えて努力すれば良くなって行く。
 
山地剥(さんちはく)
山肌が削られる危うさがあり慎重に。基礎の脆さがあり、現実を見るように。
 
地沢臨(ちたくりん)
しっかり基礎固めをして盛運に至る。自己過信には用心すること。
 
沢地萃(たくちすい)
人や物が集まる活気があり好調。賑やかさは利益だが、他目的に進まないこと。
 
地風升(ちふうしょう)
種を蒔き、基礎を固め、じっくり成就するのを待つ、将来を考える事が吉。
 
風地観(ふうちかん)
周囲の状況に惑わされず現状を維持する。マイペースで平素な努力が肝要。
 
雷天大壮(らいてんたいそう)
勢いが強過ぎて猛進するも、急な展開は失敗に。調子に乗って羽目を外し易い。
 
天雷无妄(てんらいむもう)
野心が多く失敗し易い欠点あり。なりゆき任せ、私欲に走るのも不調に陥る。
 
雷水解(らいすいかい)
苦労の後の喜びがある。心配事が解決でき、好機に乗って進める。
 
水雷屯(すいらいちゅん)
伸び悩む、長引く。希望通りにならない為、忍耐して待つ。
 
雷山小過(らいざんしょうか)
小事を処するのには良いが、大事を行うべきでない。何事も慎むこと。
 
山雷頤(さんらいい)
養い養われる関係。問題が多く、誤解・対立には注意が必要。
 
雷沢帰妹(らいたくきまい)
正常さを欠き、好機を逃し易い。不当・不正に巻き込まれないよう注意。
 
沢雷随(たくらいずい)
相手のペースに合わせれば利益がある。臨機応変な対処が必要。
 
雷風恆(らいふうこう)
ペースを守り、立場を守り努力すれば安全。平凡さの中の安らぎ。
 
風雷益(ふうらいえき)
順調に伸びて行く運。他者からの幸運に恵まれるが、態度は謙虚に。
 
天水訟(てんすいしょう)
見込み違いや誤解が生じ易く争いごとが多い。協調する精神が必要。
 
水天需(すいてんじゅ)
現状維持の時。準備して時期を待つ。新規の行動も効果は薄い。
 
天山遯(てんざんとん)
深入りは不利を招き易く、逃げるが勝ち。積極策も裏目に出易い。
 
山天大畜(さんてんたいちく)
最初は苦労があるが、実力を充分に蓄えて、終わりには喜びが得られる。
 
天沢履(てんたくり)
うっかり危険な目に遭うことも。才能がありすぎるが、自重するのが大事。
 
沢天夬(たくてんかい)
不慮の災いが生じ易い。事を急いだり、独断先行は外部との摩擦が起き易い。
 
天風○(てんぷうこう)※「こう」の字が出ません。女偏に后と書く。
思い掛けない出来事がある。吉事も凶事も考える通りにいかない。
 
風天小畜(ふうてんしょうちく)
状況は好転せず、しばらく止まる時。柔軟な姿勢で力を貯える。
 
水山蹇(すいざんけん)
進めば水、退けば山で進退に窮する。動きの取れない中で時を待つしかない。
 
山水蒙(さんすいもう)
霧があり、見通しがはっきりしない。初心を忘れず背伸びをしないこと。
 
水沢節(すいたくせつ)
節度を守って無事平穏を守るのが吉。常識的な判断で現状維持。
 
沢水困(たくすいこん)
苦難を表し、不平不満も生じ易い。努力をしてもなかなか効果がない。
 
水風井(すいふうせい)
過去からの伝統を守り、新しいことは展開しない。気長に努力する時。
 
風水渙(ふうすいかん)
吉凶共に流れる運気があり、順調だが常に油断大敵。悩み事が解決に向かう。
 
山沢損(さんたくそん)
努力の割に利益が少なく不満が出るが、誠を示して、損して得を取る生き方を。
 
沢山○(たくざんかん)※「かん」の字が出ません。「感」から心を取った字。
意志の疎通があり喜びも多い。多方面に関心があり忙しいが、対人面は良。
 
山風○(さんぷうこ)※「こ」の字は日本の漢字では表記できないようです。
マンネリに陥り破綻し易い。こだわりすぎに注意。
 
風山漸(ふうざんぜん)
順序を守って着実に進むのが吉。当初の目的を変更せず続行すること。
 
沢風大過(たくふうたいか)
無責任にならないよう、基礎を大事に、実力以上の行為はしないこと。
 
風沢中孚(ふうたくちゅうふ)
誠意を尽くして道を進む時。対人運は良いが、物質的には乏しい。



 日本的思想の大半は、中国、朝鮮半島などから渡って来た文化が元になっているので、江戸時代以前の歴史には特に、渡来文化の影響が見られると思います。現代でもそうですが、時の権力者、政治家などは意外と、時期を見る為に占いを参考にしており、これだけ科学が発達していても、非科学的な文化が存続している現実があります。それは元々が、とても優れた考察からできている大系だからではないでしょうか。改めて、作品の土台として面白いものだと思いました。




監修・ゆだみえこ copywrite : Thanksgiving2/ARCHETYPE 2004
一部修正/2016.9

【参考文献】「占いのすべてがわかる本」福田有宵+公文乃梨子/PHP研究所
「暦」/高島易団 「anan特別編集」G.ダビデ研究所/マガジンハウス




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